FIA木曜記者会見に出席する周冠宇(ザウバー)と角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年6月27日F1オーストリアGP
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RB、スプリント承知の上でテストを敢行…アプグレ問題の進捗と解決の見通しを説明する角田裕毅

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アップグレードを投じながらも期待外れに終わった原因について角田裕毅(RBフォーミュラ1)は、依然として明確な答えは出ておらず、F1第11戦オーストリアGPの週末を使ってテストを行うことで翌イギリスGPまでに解決する計画だと説明した。

ミドル~ハイダウンフォース・サーキット用に設計された新しいリアウイングやエンジンカバー、サイドポッドやフロアを含むアップグレードが導入されたVCARB 01は、スペインGPの週末全体を通してライバルに遅れを取り、レースではダニエル・リカルドが15位、角田裕毅が19位と、マイアミGP以降、続いてきた連続入賞記録が潰えた。

周冠宇(ザウバー)をリードする角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年6月23日(日) F1スペインGP決勝(カタロニア・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

周冠宇(ザウバー)をリードする角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年6月23日(日) F1スペインGP決勝(カタロニア・サーキット)

期待外れのパフォーマンスをもたらした原因は何だったのか? 中高速コーナーの数でカタロニア・サーキットと類似するレッドブル・リンクでの週末を前に角田裕毅は次のように説明した。

「今週末に向けてハッキリとした説明があればと願っていますが、チームは今もこの問題に取り組んでいる最中で、レース後のデータで期待していたものが確認できたとは言え、何故かパフォーマンスが良くありませんでした」

「幾つか原因と思しきものは見つかりましたが、まだハッキリとした答えは出ておらず、少し謎めいている感じです」

「もちろん、セットアップ面などにおいて改善できる部分はありましたが、それでも以前のレースと比べてどうしてこれほどまでに失速したのかは説明できていません」

レッドブル・リンクの変更点を歩いて確認する角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年6月27日F1オーストリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・リンクの変更点を歩いて確認する角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年6月27日F1オーストリアGP

RBにとっては頭が痛いことに、オーストリアGPではスプリント・フォーマットが採用される。スプリント系セッションを犠牲にしない限り、週末を通してテストや試行錯誤に使えるプラクティスはFP1の僅か60分間しかない。

一つには、クルマをスイートスポットに入れるという点で勝手知ったる旧スペックに戻して週末を戦うというのも手だが、チームはその方法を取らず、問題の解決に焦点を当てて各セッションに臨む計画のようだ。

引き続きアップグレードを使うのか、それとも旧仕様に戻すのか?と問われた角田裕毅は「2台のクルマを使ってテストを行う予定です。スプリント予選とスプリントレースがあることは承知していますが、できるだけ早くその答えを知りたいと思っています」と語った。

「完全に新旧どちらかというわけではなく、今週末も幾つか新しいパーツを持ち込んでいるので、全部が混ざった状態ですが、今週末の終わりには、何が原因だったのか、そして今後どの方向に進むべきかが分かるはずです」

ヘルムート・マルコがリアム・ローソンの早期RB起用を仄めかしたことで、レッドブル・リンクでは2025年のRBのシートに注目が集まっている。

来季のチームメイトに若手とベテランのどちらを望むか?と問われた角田裕毅は、暫く考え込んだ後、一言「両方です」と答え、会場の笑いを誘った。

パドックで見つめ合うRBフォーミュラ1のダニエル・リカルドと角田裕毅、2024年6月27日(木) F1オーストリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

パドックで見つめ合うRBフォーミュラ1のダニエル・リカルドと角田裕毅、2024年6月27日(木) F1オーストリアGP

角田裕毅は既に2025年のシートを確保しているが、新しいレギュレーションが導入され、ホンダがレッドブル及びRBからパワーユニットの供給先をアストンマーチンへと変更する2026年の契約は持ち合わせていない。

もし2026年もF1に残留することになれば、角田裕毅はF1キャリアの中で初めて、ジュニア時代から自身を全面的かつ強力にサポートしてくれたホンダと相対することになる。

「もし彼らが強力な競争相手の一つ、僕が打ち負かさなければならないライバルになるとすれば、それは興味深いですね」と角田裕毅は語る。

「彼らは良いエンジンを用意してくるでしょうし、そんな彼らと競い合えるのであれば本当に嬉しいですし、どうなるか分からないという意味で、僕が彼らのクルマをドライブできるなら、それもまた素晴らしいですね」

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