F1に新たな「Bチームモデル」が登場…レーシングポイント、メルセデス「W10」の模倣とパーツ流用を認める

左:メルセデスの2019年型マシン「W10」、最終アブダビGPにて / 右:レーシングポイントの2020年型マシン「RP20」、バルセロナテストにてCourtesy Of

レーシングポイントF1チームのテクニカル・ディレクターを務めるアンドリュー・グリーンは、2020年型F1マシン「RP20」が、昨年のチャンピオンマシンであるメルセデス「W10」を模倣したものだと認めた。

バルセロナテスト初日、カタロニア・サーキットに姿を現したレーシングポイントの最新作は、先端が丸いフォルムの幅がタイトなノーズを持ち、昨年の両タイトルを独占したメルセデスの「W10」を彷彿とさせた。インダクションポッドやサイドポッド周りにも多くの類似点が認められる。

午前のセッションを担当したセルジオ・ペレスは、この日が事実上のシェイクダウンであったにも関わらず、トップタイムを刻んだメルセデスのルイス・ハミルトンから0.399秒落ち、2番手のバルテリ・ボッタスから僅か1000分の62秒遅れの3番手タイムを刻んだ

これは同時に、ペレスが昨年のスペインGP予選で記録した自己ベストを0.511秒上回るものであり、RP20の競争力の高さを示唆するに十分なラップタイムであった。

アンドリュー・グリーンは独AMuSとのインタビューの中で「我々は昨年5月からメルセデスの風洞を使って作業を続けてきた」と語り、メルセデスW10と似たデザインになった経緯と理由を説明した。

「そのため、レッドブルではなくメルセデスのコンセプトに追従する方が理に適う事になった。メルセデスが持つツールやプロシージャは全て、彼らのコンセプトに基づいて調整されているのだ」

実際RP20は、レッドブルが先鞭をつけた先代のようなハイレーキなマシンではなく、メルセデスのようなローレーキへと変貌している。

この結果、レーシングポイントとメルセデスとの技術的関係性は一層緊密となり、パワーユニットのみならず、他のパーツの供給を受ける事となった。アンドリュー・グリーンは「前後サスペンションとトランスミッションは、2019年のメルセデスと同じものだ」と語った。

“模倣”というと”楽して儲ける”といったニュアンスがついてまわるが、他チームのモデルやデザインをコピーするという行為は決して簡単な事ではない。コピーによって性能までをも取り込むためには、模倣先のマシンに対する絶対的な理解が欠かせない。

昨年のパドックで大きな話題の一つとなったのは、いわゆる「Bチーム戦略」についてのものだった。アルファロメオ=フェラーリ、アルファタウリ=レッドブルに代表される緊密な技術提携で結ばれたパートナーシップは、今やこれなくしてタイトル争いは難しいとまで考えられている。

アンドリュー・グリーンは昨年の3月、こうした動きがフィールド内で加速してる状況について「危機感を抱いており、何らかの対応策を検討する必要がある」との認識を示していた。

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