マクラーレンのガレージ前に積まれたピレリPゼロハードタイヤ、2023年10月20日(木) F1アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)
Courtesy Of McLaren

ピレリF1、新型「C6」で3年ぶりの”飛び配分”へ…見えてきた2025年タイヤの方向性

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最終決定はアブダビでのポストシーズン後に下されることになるが、F1メキシコGPのフリー走行を活用した今季最後のインシーズンテストを経てピレリは、2025年に投入する新たなタイヤの方向性を固めた。

ピレリが目指しているのは、タイヤのグリップレベルを変えることなくオーバーヒートとグレイニングを低減することだ。唯一、明確にグリップ力の向上が図られたのはC2で、C1とのグリップ差があまりなかったことから、C3寄りに変更される。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、エルマノス・ロドリゲス・サーキットでのテストを経て、新しいC4、C5、そしてC6の仕様を決定したと説明し、最も柔らかい新たなコンパウンドとして、来年に向けてC6の認証を取得する意欲を示した。

2025年のラインナップに存在しないC6についてイゾラは、F1カレンダーに年々、ストリートサーキットが増加していることに触れ、モナコやラスベガスを含む市街地サーキット用として利用する方針を示した。

市街地コースと言っても千差万別だ。かつては低速コースの代名詞であったが、リバティ・メディアによる買収以降、新たにカレンダー入りした市街地コースは高速を売りにしたものが多い。

バリエーションが増える中、C6の存在はピレリに、アロケーションという点での柔軟性をもたらすことになる。

「C6によって柔軟性を確保することは我々にとって有益だ」とイゾラは語る。

「必ずしも3つの連続したコンパウンドを選ぶ必要はなく、C6が特定のサーキットに適していれば、C3、C4、C6のように1つ飛ばす選択も可能だ」

不連続なコンパウンドが最後に供給されたのは、大規模なコース改修を経て3年ぶりに開催された2022年のオーストラリアGPだ。それ以前は、スーパーソフトを飛ばしたソフト、ウルトラソフト、ハイパーソフトの3種が供給された2018年のロシアGPだった。

C3、C4、C5のコンパウンドは、1周あたり約0.5秒のパフォーマンス差を目標にしており、C6も同様に、C5よりコンマ5秒速いラップタイムをもたらす見通しで、同時にピットストップ回数を増やす要因となるデグラデーションも大きくなる見込みだ。

新たな構造に関しては、9月の時点で既に国際自動車連盟(FIA)の認証を取得済みだが、イゾラは、コンパウンドの最終調整と合わせてアブダビテストで別スペックの構造を試す可能性を示唆した。