F1マシンデザイナーのエイドリアン・ニューウェイ
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鬼才ニューウェイ、ホンダとの新シーズンに備えてF1マシン設計の仕事に完全復帰

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空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイは現在、ホンダとの新たなパートナーシップに備えてF1マシンの開発に全力を傾けており、久しぶりの選手権争い復帰に向けて意気揚々と仕事に取り組んでいるようだ。

F1に1.6リッター・ハイブリッド・ターボが導入されて以降のニューウェイは、アストンマーティンとの共同開発ハイパーカー”ヴァルキリー”や、ヨットレースのアメリカズカップ、本の執筆など、他の分野でのプロジェクトに集中。F1での仕事の割合を減らしていた。

だが、ニューウェイはオーストリア地元紙”ザルツブルク・ナハリヒテン”に対して、今はヴァルキリーの仕事が一段落し、再びF1への情熱が再燃している事を明かした。

「かなりの時間を費やしたけど、アストンマーティンのスーパーカー”ヴァルキリー”の仕事は終わったし、ここ15ヶ月間はまたF1マシンの方に集中して取り組んでるんだ」

ヴァルキリー AMR PRO CG画像
ヴァルキリー AMR PRO

ニューウェイは現在、”RB15″の呼称が付与されると思われる来シーズンのF1マシンの設計開発に従事。レッドブルは2019年シーズンからホンダエンジンを搭載する。

「車体に対するエンジンの取り付けが問題になることはないだろうね。もちろん、ホンダとルノーとでは仕様が違うし要件も異なるけど、合わせ込むのは大した事じゃないんだ。何より重要な事は、我々がホンダと非常に良い関係を築いているという事だ」

「成功に賭けるホンダの意気込みと、その多大な努力に私は感銘を受けている。ここ数年はストレスが溜まるシーズンが続いてきたけど、今は心が踊るような状況だよ。最高の車を作っても、チャンピオンシップでチャンスがないんじゃ、モチベーションが下がるのはしょうが無いからね」

レッドブルの提携を受け記念撮影に臨んだエイドリアン・ニューウェイ、ヘルムート・マルコ、山本雅史、クリスチャン・ホーナー、田辺豊治
© Honda、レッドブル・ホンダ誕生発表に際して記念撮影に臨んだニューウェイ、とヘルムート・マルコ、山本雅史、クリスチャン・ホーナー、田辺豊治

ホンダのPU供給拡大に伴い、来シーズンのレッドブルとトロロッソはコラボレーションを加速させ、ギアボックスやフロントサスペンション、油圧や電子部品など、レギュレーションで許される広範な領域に渡ってパーツを共有。現在のフェラーリとハースが構築している技術提携モデルと似通った関係性を持つことになる。

これによって両チームは非常に大きなメリットを享受する事になるが、来季に向けてはネガティブな要素もある。技術部門の再編を目指すマクラーレンは今年7月、トロロッソの技術部門を率いてきた若手有能株のジェームス・キーをヘッドハントしたと発表。キーがウォーキングのチームに合流するのは早くても来年と考えられているが、レッドブルにとってはかなりの痛手だ。

「共通部品に関するルールについては凄く気を使ってるし尊重しているが、その価値は大きい。キーのことに関してはマイナスだけど、これ以上は何も言いたくない」

ニューウェイは、キーの引き抜きについて多くを語る事を拒否した。