ミハエル・シューマッハ、最後の赤き女神「フェラーリ 248 F1」がオークションに…歴史的高額落札 必至か
ミハエル・シューマッハにとってのF1キャリア最後のスクーデリア・フェラーリ、2006年型「248 F1」がRMサザビーズのオークションに出品された。入札は2024年11月14日に開始される。落札予想価格は示されていないが、歴史的な金額に達すると見られている。
2006年は7度のF1ワールドチャンピオンが1回目の現役引退を発表したシーズンだった。フェラーリでの11シーズン目に臨んだシューマッハは、前年に続いてルノーのフェルナンド・アロンソに戦いを挑んだものの及ばず、この年がフェラーリでの最後のドライブとなった。
V8エンジン搭載の特別なフェラーリ
アルド・コスタ設計の248はフェラーリにとって、1964年の「158」以来となるV8エンジンを搭載したマシンだった。縦置きの7速ギアボックスと組み合わされた新型2.4リッターV8エンジンは当初、約730馬力に留まっていたが、シーズン末までに約800馬力まで強化された。
レギュレーション変更により、3リッターV10から2.4リッターV8へとダウンサイジングされた結果、フェラーリは2000年代を通して採用してきた「F + 西暦」の命名規則を取り止め、「248 F1」という名称を採用した。
2006年型フェラーリは前季型「F2005」を踏襲しつつも、ロス・ブラウンの指揮のもとで革新的なデザインが施された。特に、サイドポッドの端に配置されたミラーは独創的で、後にレッドブルが模倣した。サイドポッドの小型化により後方への空気の流れが最適化され、タイヤの摩耗も改善した。
僅差で逃した8度目のタイトル
開幕バーレーンGPでポールポジションと、シーズンは幸先の良い形でスタートしたが、レースでは僅差でアロンソに敗北し、その後もルノーにリードを許す展開が続いた。しかしながら、イモラでアロンソを抑えて反転攻勢のシーズン初勝利を飾ると、アメリカ、フランス、ドイツでは3連勝を収め、シーズン中盤に向けてタイトル争いに復帰した。
最終的にシューマッハは2006年に5勝を挙げ、さらに3つのポールポジションを記録したが、最終一つ前の日本GPではエンジントラブルによりリタイア。アロンソに10ポイント差のランキング2位に後退して臨んだ最終ブラジルGPでは、接触によるタイヤのバーストにより優勝争いから転落し、8度目のタイトルは幻に終わった。
今回出品されたシャシーNo,254はドイツGPまで実戦投入された。そのラストレースはシューマッハに最後の母国グランプリ優勝をもたらした。現役を退いた254はその後、シューマッハの後任となったキミ・ライコネンがフェラーリで初めて取り組んだ翌年1月のテストでも使用され、2007年12月にコレクターの手に渡った。
シューマッハが優勝を飾ったフェラーリのF1シャシーは30台あまり。複数回優勝したシャシーはその半分ほどで、5回以上優勝したシャシーは、ほんの一握りに限られる。
スクーデリアのお墨付き「フェラーリ・クラシケ公式鑑定書」を取得しており、ホイールと外部スターターを含むスペアパッケージが付属しているが、10年以上使用されていないとのことで、実際に走行するにはメンテナンスが必要となるが、これを落札するコレクターにとって、その費用が問題になることはないだろう。