ターン1前に決した勝負、ボッタスのライン取りに不満のメルセデスと「本当にフェアだった」と称えるレッドブル

2021年11月7日F1メキシコGP決勝レース1周目のターン1の様子Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1第18戦メキシコGP決勝オープニングラップのターン1でのライン取りについて、チームメイトのルイス・ハミルトンやチーム代表のトト・ウォルフがバルテリ・ボッタスに不満を口にする一方、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表「本当にフェアだった」とライバルの公平さを讃えた。

ターン1以前に決していた勝負

トップ3グリッドに付いた3人は、811mのホームストレートをスリーワイドで駆け抜けた。イン側にはメルセデスの2台が、アウト側には予選3番手のマックス・フェルスタッペンが並んだ。

結果、フェルスタッペンはイン側のライバルよりもブレーキングを遅らせる事でトップを奪取。ボッタスは後続のダニエル・リカルドとの接触により最後尾に転落し、ハミルトンは追撃の術なく2位に終わった。

勝負はターン1前に既に決していた。フェルスタッペンは「レーシングラインを走っていれば、自分がどの位置でブレーキを掛ける事ができるか正確に予想する事ができる」と説明する。

「対してトリッキーな状況に追い込まれるのは、もちろんイン側のマシンだ。誰も走らない場所で路面が汚れているからね」

「だからアウト側のクルマほどブレーキングを遅らせる事は出来ないし、加えてコーナーへの進入角度も制限される事になる」

ボッタスのライン取りに不満のメルセデス

メルセデスはスタート直後にフェルスタッペンからポジションを守るための戦略を議論し合っていたが、その目論見が実る事はなかった。ハミルトンはチームメイトの動きについて不満を漏らした。

スリーワイドでのターン1への進入について振り返るよう求められたハミルトンは「僕としては…あれは想定していなかった。バルテリがもっと良い形でスタートを切っていれば、彼のトウを掴みに行ったと思う」と語った。

「でも実際には、僕は彼と横並びになった。それはそれで良かった。その後はただ自分のイン側をカバーするだけだった。誰にも飛び込ませないようにね。僕はミラーに映るレッドブルを抑え込もうと頑張った」

「バルテリも同じようにやるだろうと思っていたけど、彼はマックスのためにドアを開けたままにしていた。その結果マックスはレーシングラインを走り、ターン1へのブレーキングで最高の仕事をしてみせた」

「僕に出来る事は何もなかった。ダーティーなイン側にいたわけだからね」

ハミルトン、ボッタス発言を釈明

Courtesy Of Daimler AG

2位表彰台に上がったメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月7日F1メキシコGP決勝レースにて

トト・ウォルフは、仮にターン1でトップを防衛できたとしてもフェルスタッペンの勝利を阻む事は出来なかったと考えているが、ボッタスの動きに関してはハミルトンと同じ見解だった。

ターン1での一件について聞かれたメルセデスのボスは「あれはあってはならない事だった」と答えた。

「我々は先頭に2台のクルマを持っていたものの、マックスをアウト側に回り込ませるための道を開いてしまったように見える」

「3位あるいは4位を獲得できた可能性があったのに、その後にスピンしてしまったのは控えめに言っても腹立たしい」

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メルセデスのトト・ウォルフ代表、2021年11月7日F1メキシコGP決勝レースにて

トト・ウォルフは現行マシンのミラーで後方を確認するのは「非常に難しい」と認めつつも「もっと左に寄っていたら、彼(フェルスタッペンは)はパスできずにブロックされていたと思う」と語った。

当のボッタスは、自身やハミルトンのポジショニングが悪かったというより、フェルスタッペンのレイトブレーキングがリードを失う事になった原因だと指摘した。

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メルセデスのバルテリ・ボッタス、2021年11月7日F1メキシコGP決勝レースにて

本当にフェアだった、と称えるレッドブル

当然と言えば当然だが、ターン1で勝利への切符を手にする事になったライバルチームの指揮官の口から出る言葉はメルセデスのものとは正反対だ。

クリスチャン・ホーナーは「ターン1での一件については、ボッタスが非常にフェアだったと言わざるを得ない。彼は十分なスペースを与えてくれた」と語った。

「今日のビッグレースを制した事には大きな意味がある。ドライバー、ピットストップ、戦略、信頼性など、チーム全体が完璧なパフォーマンスを発揮してくれた。 チームとして本当に力強い戦いができた」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

優勝して胴上げされるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年11月7日F1メキシコGP決勝レースにて

「マックスは今日も驚異的だった」

「セナと同じ年間8勝を挙げていたマックスはこの日の勝利によって、ホンダにとって初の年間9勝を達成したドライバーとなった。彼とホンダにとって素晴らしい功績だ」

「チェコにとっても本当に素晴らしい特別な週末になった。メキシコ人として初めて母国グランプリをリードし、3戦連続となる表彰台を獲得した」

「彼はクルマに対する自信を深め、パフォーマンスを次々に向上させている。我々が彼に期待していた通りの結果となった」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

優勝記念撮影に臨んだレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、ヘルムート・マルコ、クリスチャン・ホーナー、セルジオ・ペレス、ホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクター、2021年11月7日F1メキシコGP決勝レースにて

1-2を逃しこそすれ、快勝を飾ってコンストラクターズ選手権でメルセデスに1点差と迫ったレッドブルだが、チーム内にタイトル争いを楽観視する空気はない。

クリスチャン・ホーナーは「次のブラジルGPではスプリントレースが行われるが、我々はまだスプリントフォーマットの週末で勝った事がない」と気を引き締める。

「今週末は特に、予選でメルセデスの競争力を目の当たりにしたから、何事にも甘んじるつもりはない」

「獲得可能なポイントはまだ107ポイント残っている。レースはまだ残されており先は長い」

インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは11月12日のフリー走行1で幕を開ける。

F1メキシコGP特集

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