F1撤退、交渉難航…相次ぐ衝撃的な噂。首を横に振るメルセデスとルイス・ハミルトン
F1からの撤退、契約交渉難航。メルセデス界隈に立ったセンセーショナルな最新の噂について、ダイムラーとルイス・ハミルトンがそれぞれの噂を否定した。
シルバーアローはV6ハイブリッド時代のF1で絶対的な強さを誇る成功者として君臨しており、今季は史上最多となる7シーズン連続でのダブルタイトル獲得に王手をかけているが、英国の2つのメディアは今週、信頼できる情報筋が伝えた内容として、メルセデスが今季末を以てF1から撤退する事を「真剣に検討している」と報じた。
撤退の”検討”を否定するケレニウスCEO
報じられた内容によると、メルセデスの親会社であるダイムラーは2月12日に取締役会を開催する予定であり、議題の一つはF1からの撤退についての検討だという。また、撤退が決断された場合、英国ブラックリーの拠点及びその資産は、レーシングポイントF1の共同オーナーであるローレンス・ストロールとトト・ウォルフによって買収され、「アストンマーチンF1チーム」として再出発を切る可能性があると伝えた。
こうした報道の背景に、新たなコンコルド協定策定における政治的駆け引きの可能性があることは既に指摘した通りだが、ドイツの放送局RTLを始めとした欧州の大手メディアは総じて、そもそもその日に会議が行われる予定はない、としているほか、ダイムラーの最高経営責任者は撤退についての検討そのものを否定している。
ロイター通信が報じたところによると、ダイムラーのオラ・ケレニウスCEOは1月29日にドイツ・ベルリンで開催された自動車産業の年次レセプションにおいて「F1撤退について検討しているか否か」との質問に対して「事実ではない」と答え、これを否定したという。
メルセデスがF1を去る可能性
とは言え、メルセデスが2021年以降もF1に留まるかどうかについて、現時点で約束されたものは何一つない。2021年にはマクラーレンに対して新たにF1パワーユニット一式を供給することが決定しており、パワーユニットサプライヤーとしてはF1に残留することが99%確定しているものの、ワークスチームという立場での参戦継続を保証するものがないのは事実だ。
メルセデスF1のチームプリンシパルを務めるトト・ウォルフは同チームの株主であるものの、彼の契約もまた今季末限りとなっており、チームの存続そのもののと同じように2021年以降については不確かだ。ウォルフ代表は昨年11月に、メルセデスのF1残留の可能性は「高い」との見解を示しているものの、それを保証するとまでは語っていない。
そして何よりも、メルセデスは現時点でF1の商業権利者であるリバティ・メディアとの21年以降の契約を交わしていない。両者は過去十数ヶ月に渡って、新たな時代のルールづくりにおいてお互いを牽制しており、各々有利な条件で契約書にサインする事を望んでいる。
つまり、メルセデスがF1から撤退する可能性は依然としてあるのだが、これはメルセデス以外の全てのチームにとっても同様だ。コンコルド協定の中身が確定していない今、契約を結ぶことはメルセデスのみならず誰にも出来ない事であり、シュツットガルトのみを取り上げて撤退の可能性を指摘することに大きな意味はない。
未だ交渉すらしていない、と主張するハミルトン
将来の動向に注目が集まっているのはメルセデスだけではない。伊メディアは25日付で、昨年のワールドチャンピオンであり今年7度目のF1タイトルに照準を合わせているルイス・ハミルトンとメルセデスの契約交渉が暗礁に乗り上げていると報じた。両者の契約もまた、2020年末で満了を迎える。
伊紙Corriere dello Sportは、ハミルトン側がメルセデスに対して年間65億円の4年契約を希望していると報道。対するメルセデスは、親会社からコスト削減を迫られているため交渉が難航しており、ハミルトンがフェラーリに移籍する可能性があると伝えたが、当のハミルトンはソーシャルメディアを通して以下のように述べ、交渉すら始まっていないと主張した。
「参考までに伝えておくけど、トトと僕はまだ、契約について話したことすらない。今のところ何も交渉していないし、メディアがストーリーを作り上げているに過ぎない」
マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールという若手大物二人が早々にレッドブル・ホンダとフェラーリとの長期契約を締結し、ハミルトンにとっての移籍候補先チームのシートが埋まる中、残留するにせよ移籍するにせよ、現時点で何も交渉していないとすればハミルトン自身の危機管理能力に疑問が生じるが、いずれにしてもメルセデスが新しいコンコルド協定にサインするか否かを決断しない以上、確かな事は何もない。