正念場迎えるマクラーレン、来季レッドブルとの直接比較にプレッシャー。車体性能浮き彫りに

エンジニアと話をするストフェル・バンドーンcopyright Mclaren

ストフェル・バンドーンは、来季のマクラーレンはレッドブル・レーシングと比較される運命にあり、それはチームにとってプレッシャーになるだろうと考えている。最強出力を誇るとは言い難いルノー製パワーユニットを使う赤牛軍団は、車体性能の高さを武器に今シーズン第8戦アゼルバイジャン、第15戦マレーシア、そして第18戦メキシコの計3レースで優勝している。

マクラーレンのチーム代表であるエリック・ブーリエや、エースドライバーであるフェルナンド・アロンソらチーム関係者は、度々自社製シャシーの戦闘力の高さをアピールし、レッドブルと同等、時にはグリッド最強とまで主張する。ホンダとの契約を解消し来シーズンよりルノーエンジンにスイッチする事で車体性能は浮き彫りとなり、その主張は公に裁かれる。

バンドーンは、シーズン最終のアブダビGPを前にした14日(火)、来季エンジンサプライヤーが変更される事に触れて、F1公式サイトのインタビューで以下のように展望を語った。

「正直に言うと、(来年の事については)あまり多くは話し合ってないんだ。もちろんチームは既に来季のマシンに100%集中してる。これまでにチームから聞いてる内容は全て前向きなものだよ。(エンジンの変更によって)例え大きな変更が必要になったとしても、それによってマシン性能が損なわれることは無いはずさ」

「レッドブルが勝利や表彰台を獲得していることを思えば、ルノーPUは有望だよね。ルノーエンジンを搭載すればそんなレッドブルと比較されるわけだし、前向きな事とは言え僕らはプレッシャーを受けるだろうね」

同チームが最後にポディウムに上がったのは2014年の開幕オーストラリアGP、2013年以降は1勝も出来ていない。13年、マクラーレンMP4-28は前代未聞の不振に陥り、1980年以来となる表彰台無獲得の年間5位に転落した。かつて賞賛と羨望の眼差しを集めた英国の名門チームの凋落は、ホンダと手を組む前から既に始まっていた。

興味深い事に、秘蔵っ子としてキャリアを積み重ねてきたルイス・ハミルトンがマクラーレンを離脱したのが12年末。その理由についてハミルトンは「ミスを減らしたりマシンを向上させる努力が全くみられない」と述べ、チームの運営体制と戦う姿勢にあった事を明らかにしている。如何なる困難な時でも勝利を掴み取ろうとするチームメンタル…2017年、マクラーレンが最速ピットストップタイムを記録したことは一度もない。

チームの内情や予算など将来のポテンシャルを評価できる立場にあったハミルトンが選んだのは、マクラーレンではなくメルセデス。そのメルセデスは14年以降、チーム及びドライバーの両選手権を制覇し続けている。

時を同じくして、ボーダフォンやタグ・ホイヤー、ジョニーウォーカーやヒューゴ・ボスといった長年巨額の資金を提供していた大手スポンサーもマクラーレンを去った。非常時にこそ強いリーダーシップが求められるも、ロン・デニスが政治争いに破れ地位を追われた今、雇われCEOのザク・ブラウンにそれを期待するのは難しい。

ホンダからの資金提供を失う来シーズン、チームオーナーはこれを補うだけの追加投資を行い復権を目指す。リターンなくして投資なし。2018年のマクラーレンは待ったなしの正念場を迎える。

F1アブダビGP特集

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