方針転換マクラーレン、F1選手権争いでノリスを「偏重サポート」へ…ただし”限定的”
マクラーレンはこれまで、接触を伴わないことを条件として2人のドライバーに自由にレースをさせてきたが、チーム代表を務めるアンドレア・ステラは方針を転換し、2024年の世界選手権タイトルを目指す上で、オスカー・ピアストリよりランド・ノリスを優先的にサポートする計画だと明かした。
今週末のアゼルバイジャンGPを含めて今季は残り8戦。ノリスは首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)から62ポイント差のランキング2位、ピアストリはチームメイトから44ポイント遅れの4位につけており、マクラーレンは今後、逆転タイトルの可能性がより高いノリスをサポートする。
とは言え、いわゆる伝統的な「ナンバー1ドライバー」待遇を与えるわけではないようだ。ノリスは実力での勝利を望んでおり、ステラはノリスを優先する一方、スポーツマンシップと公平性を保ちつつレースを行うと強調する。
ステラは英BBCとのインタビューの中で、「勝利することは重要だが、正しい方法で勝利したいというのが我々の基本的な考えだ」と語った。
「我々はランドを偏重的にサポートすることになるが、自分たちが掲げる原則をあまり損なわないようにしたいと考えている」
「チームの利益が常に最優先されるというのが我々の原則だ。スポーツマンシップは我々のレース運営全体において重要な要素であり、両ドライバーに対して公平でありたいと思っている」
ステラによるとノリスは、残りのシーズンを通じてピアストリに常に道を譲らせるような完全なナンバー1待遇を望んでいない。
「ランドはコース上で勝利に値する走りをして勝ちたいと考えている」とステラは説明する。
「チームメイトからの時折のサポートは構わないが、ポイントのためだけにレースを調整するようなやり方を常にはしたくない。チームメイトが正当に結果を出している時に、そうしたことをするのは望ましくない。それはマクラーレンが望む勝ち方でもなければ、ランドが望む勝ち方でもない」
ステラは、チームオーダーといった「適切ではない行動」によって獲得できたであろう幾つかのポイントを逃したせいでタイトル争いで敗れたとしても、ノリスは納得するだろうと付け加えた。
ノリスを優先する具体的な状況については明らかにされておらず、そのような行為が「価値がある」と判断された場合に行われるとステラは説明した。
方針転換のきっかけとなったのはモンツァで行われたイタリアGPだった。ピアストリは1周目にポールシッターのノリスを交わしてトップに立ったが、両者の攻防の利を得たシャルル・ルクレール(フェラーリ)がこの間に2位に浮上。最終的にはマクラーレンの2台を抑えて勝利を飾った。
ステラは「我々がモンツァで見たような、1位と2位で(2つ目の)シケインに入ったにもかかわらず、そこから抜けると1位と3位というような状況は避けたい。それはチームにとってマイナスだ」と述べ、今後の目標として、チームに不利益な事態を避けること、両方のタイトルを勝ち取るためにドライバー同士が協力すること、そして「向こう見ずな勝利」を目指さないことを挙げた。
ステラによると、ノリスとピアストリはこの新たな方針に協力的な姿勢を示しており、ピアストリは「勝利を譲るのは辛いが、それが正しいことであればやる」と述べたという。ピアストリは直近4レースのうち2レースでノリスを上回るリザルトを挙げている。