ジル・ビルヌーブ・サーキットを走るマクラーレンのフェルナンド・アロンソ
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マクラーレン、来季インディカー参戦を本格検討「またホンダとタッグを組んでレースがしたい」

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米インディカー・シリーズへのフル参戦の可能性が高まる英マクラーレンは、参戦の暁にはホンダエンジンの搭載を熱望している。ザク・ブラウンCEOは、2019年のインディカー参戦に極めて前向きな姿勢を示しており、商業面・ブランディング・勝率など、多方面からの評価と検討を続けている。

6月10日日曜に開催される第7戦F1カナダGPのためにモントリオールに姿を現したブラウンは、参戦に向けてインディカーにエンジンを供給しているホンダとシボレーの関係者と接触した事を明かし、参戦に際しては再びホンダとタッグを組みたいと述べた。

「インディカーにはエンジンメーカーが2社あるが、いずれも素晴らしい仕事をしている。我々としては、またホンダと一緒にレースがしたい。ホンダは優れたエンジンを製造し、インディカーで数多くの勝利を収めてきた。その方向で話が進むようであれば、再度ホンダと組む事をためらう理由はないよ」

2012年を境にF1での勝利から遠のき低迷が続いていたマクラーレンは、チャンピオン奪還を目指して2015年にホンダとのパートナーシップを締結。3年間に渡ってホンダと共にF1を戦ってきたが、度重なる信頼性不足とパフォーマンスの欠如のために、昨年を以て協力関係を終了した。

マクラーレン・ホンダ最終年の昨年、世界三大レース全制覇”トリプルクラウン”の達成を目指すべく、フェルナンド・アロンソがインディカー・シリーズ第6戦インディ500にスポット参戦。マクラーレンとホンダの支援のもと、名門アンドレッティ・オートスポーツから世界最古の歴史を持つ伝統のレースを戦った。

仮にマクラーレンが北米最高峰フォーミュラに参戦する場合、同社にはノウハウと経験がないため、再度アンドレッティと締結するものと考えられる。それを裏付けるように、カナダGPの舞台ジル・ビルヌーブ・サーキットには、アンドレッティのチームオーナーであるマイケル・アンドレッティの姿があった。インディカー第9戦テキサス600が開催されている中での訪問であり、単なる観戦でない事は明らかだ。先週末は、マクラーレン首脳陣がインディカー第8戦デトロイトに足を運んでいる。

インディカーへの参戦を念頭にマクラーレンは先月、2度のインディカー王者でありインディ500優勝経験者のジル・ド・フェランをコンサルタントに起用。ド・フェランは2003年に現役を引退した後、2005年から2007年までホンダのF1プロジェクトに関与しており、同社とのパイプも深い。

新規参戦の鍵を握るのはフェルナンド・アロンソだ。F1で2度チャンピオンに輝いたスペイン人ドライバーも今年で37歳。F1引退を視野に入れ、世界三大レースの1つであるインディ500を制すべく、インディカー転向を検討している。アロンソはシーズン前半が終了する7月末のハンガリーGP後に去就を発表するものと見られている。

マクラーレンのインディカー参戦に際して、アロンソがそのパッケージの中に含まれているであろう事は想像に難くない。ブラウンは如何なる形であれアロンソをチームに留めておきたいと公言しており、一部報道では、マクラーレンはアロンソに対し、インディカー転向後にF1に任意復帰できるオプションを提案しているとすら噂されている。

他のエンジンを積みさえすれば直ぐにでも優勝できる…そんな強気な発言とは裏腹に、ルノーエンジンを搭載した今年のマクラーレンはまだ一度たりとも表彰台に上がっておらず、状況が僅かに好転したに過ぎない。マクラーレンが選手権争いに絡めるようになるには、最短でも2021年。レギュレーションが大きく変更されるその時を待つ他にない事はアロンソも重々承知、オプション提案の裏には40歳のアロンソがF1を走る事が想定されている。

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