スパ・フランコルシャンを駆け抜けるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年8月28日F1ベルギーGP決勝レース
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ルクレール「リスクを冒したくない」ファステスト狙いのストップに懸念もフェラーリ断行…散々な展開に愚痴

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シャルル・ルクレール(フェラーリ)は5番手走行中のラスト2周を前にしたピットストップの際の制限速度違反について「ペナルティは僕のせい」と非を認めているが、ファステストラップ狙いの戦術に対しては明確に懸念を示していた。

F1ベルギーGP序盤の捨てバイザー事件によって追撃の芽が奪われ、4位以上の可能性がほぼ消滅した終盤、マラネッロのピットウォールはトップを独走するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が持つボーナスの1点を狙いにいった。

たかだが1点だが、チャンピオンシップ争いという観点では相手から1点を奪い、自らに1点を加算するため2点分の価値がある。

ただ、ピットストップはタイヤの履き間違えや思わぬ作業ロスなど、様々なリスクを孕む。2点のために10点(5位フィニッシュの際の付与ポイント)を失う可能性もあるだけに、ルクレールはこの戦術に対して懸念を示していた。

チームからの呼びかけに対してルクレールは無線で「今回はリスクを冒すつもりはない。本当に狙いにいくのかどうかはチーム次第だけど、僕はリスクを冒したくない」と返答した。

これに対してピットウォールは「それならボックスだ。今だ入れ」と当初の計画を貫いた。

結果、ルクレールはピットインの際にピットレーンの制限速度(80km/h)を1km/h違反してしまい、更にはコースに戻った際、1秒前で戻れると聞かされていたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に5番手を奪われてしまった。

ルクレールはポジションを取り戻したものの、ファステストラップを記録することはできず、制限速度違反に伴う5秒ペナルティによって6位に後退してしまった。ファステスト狙いの一手はポイントを失う結果に終わった。

全くツキのない悪夢のような1日であっただけに、ルクレールが「なんて素晴らしい日なんだ!」と愚痴りたくなるもの頷ける話だ。レースを終えてルクレールはSNSに次のコメントを寄せた。

「1周目に9番手を走行していたのに、その後、ティアオフがブレーキが入って右フロントがオーバーヒートしてしまい、これを取り除くために停車を余儀なくされ、5番手にまで巻き返したと思ったら、ティアオフによるセンサー焼けが原因でピットレーンを速く走り過ぎて5秒ペナルティを受けた。なんて素晴らしい日なんだ!」

セルジオ・ペレス(レッドブル)が2位表彰台に上がった事で、ルクレールはランキング2位の座を追われ3位に後退した。

フェラーリのマッティア・ビノット代表は、序盤のアクシデントを引き起こした捨てバイザーはフェルスタッペンが捨てたものだとした上で、この際のオーバーヒートによって速度計測センサーが故障した事が終盤の制限速度違反に繋がった可能性があるとしている。


8月28日(日)にスパ・フランコルシャンで行われた2022年F1第14戦ベルギーGPの決勝レースでは、14番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季9勝目をマーク。2位にチームメイトのセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位表彰台にカルロス・サインツ(フェラーリ)が滑り込む結果となった。

ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、9月2日のフリー走行1で幕を開ける。

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