ウィリアムズのニコラス・ラティフィ、2020年F1バルセロナテストにて
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F1デビューに値する? 疑問視される2020年唯一の新人ニコラス・ラティフィの実力

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元F1ドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデは、今年ウィリアムズからF1デビューを果たすニコラス・ラティフィが、F1参戦に足るだけの実力を備えているのかどうか疑問視している。

昨シーズンはFIA-F2選手権の上位3名全てがステップアップを果たした。アレックス・アルボン、ランド・ノリス、ジョージ・ラッセルは、ルーキーながらも印象的な活躍を残して高い評価を受けたが、今季F1の唯一のルーキーであるラティフィはどのようなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。

大富豪で実業家のマイケルを父に持つラティフィは、ロバート・クビサが去った後のグローブのチームのシートを手に入れ、カナダロイヤル銀行を始めとする複数のスポンサーをウィリアムズに持ち込んだ。財務面で多くをもたらしたラティフィは、レースリザルトでもチームに貢献するだろうか? ヴァン・デル・ガルデは懐疑的だ。

34歳のオランダ人ドライバーは母国Formule 1とのインタビューの中で「彼が十分に優れているとは思わない。今年はラッセルと対峙して本当に厳しい一年を過ごす事になるだろう。ラッセルの才能は素晴らしい。彼はF3やF2時代にそれを証明した。確かにラティフィはF1に辿り着いたが、ウィリアムズが生き残れるだけの巨額の資金を持ち込んだ事も事実だ。ドライバーとしてのラティフィに感心できる点はない」と意見した。

ラティフィはある意味で、昨年デビューしたアルボンとは対極的だ。日産e.damsからフォーミュラEデビューを飾る予定だったアルボンは、トロロッソ・ホンダの契約が決まるまで一度もF1マシンを走らせた事がなかったが、ラティフィはそれとは全く異なるプロセスを経てF1のシートを手にした。

潤沢な財務バックボーンを持つカナダ人ドライバーは、ルノーのテストドライバーの籍を得た2016年に初めてF1マシンを走らせ、翌年のバルセロナとハンガロリンクのテストでもマシンを駆った。更に2018年にはフォース・インディアへと籍を移し、母国カナダGPのFP1を含む合計4度のセッションでステアリングを握り、2019年はウィリアムズから計6回に渡ってFP1を走行した。つまり、経験という点で言えばラティフィは純粋なルーキーとは言い難い側面があるのだ。

チームメイトのラッセルはラティフィについて「歴代の中で最もF1に向けた準備が整っているドライバーだ。全く侮れない。彼より速く走るのは簡単じゃないと思う」と語り、エクスキューズ的な意味合いもあるのだろうが、いずれにしても強い警戒感示している。

デビュー戦でのラッセル対ラティフィのチームメイトバトルに注目したい。

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