角田裕毅「推測の域を出ない」全てが未知数のF1ラスベガス、慎重ながらも”楽観視”
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路面のサーフェスと気温、これに伴うタイヤの挙動が未知数である事、そしてコンストラクターズ選手権7位争いのライバル、ウィリアムズが競争力を発揮する可能性がある事などから、角田裕毅(アルファタウリ)は初開催のF1ラスベガスGPに向けて慎重だ。
ただ、チームは過去3戦で16ポイントを獲得して好調の波に乗っており、AT04は間違いなく中団上位を争えるだけのポテンシャルを手に入れた。「すべてが未知数」とする一方で角田裕毅は、入念な準備やバクー市街地コースとの類似性などを背景に、悲観的な様子を見せていない。
ラスベガスGPの開幕に先立ち角田裕毅は「ここ3戦は全てのレースでポイントを獲得しており本当に調子が良く、チームは今、勢いに乗っています」と述べ、AT04に改良が施されたアメリカGP以降の直近3レースを振り返った。
「本当に前向きな事に、ウィリアムズとのポイント差を大きく縮めることができましたが、これは主にオースティンで投入したアップグレードのおかげです。ペースだけでなく自信を得る事ができました」
「正直に言えば、前戦ブラジルではあれほどのパフォーマンスが発揮できるとは予想していませんでした。この勢いを次の2戦にぶつけて積極的に戦ってポイントを獲得し、コンストラクターズ選手権7位を目指していきます」
ラスベガス市街地コースの全長はスパ・フランコルシャンに次いで2番目に長い6.201kmで、最長1.9kmに及ぶ3本のロングストレートを備える。シミュレーションによる最高速度は342km/hと、”高速の殿堂”と称されるモンツァに次ぐ速さが予想される。
コースについて角田裕毅は「シミュレーターで走った感じでは、ベガスはストレートが長く、かなりの高速サーキットですが、同時に殆どのコーナーが低速なのでハードなブレーキングが求められます」と語る。
「これまでの僕らは、ロングストレートを持つコースで苦戦する傾向がありましたが、ポジティブに考えれば、ここは僕らが得意とするバクーによく似た特性があると感じています」
「個人的には楽観的に考えていますが、チャンピオンシップ争いのライバルであるウィリアムズも、この手のコースでは速いはずなので、懸命に戦って彼らを上回ることを目指します」
全てのセッションは現地20時30分以降に行われる。気温は10℃以下とも予想され、18インチピレリタイヤはかつて経験したことのない寒さに直面する。
「大きな話題の一つは気温です」と角田裕毅は語る。
「セッションが行われるのは夜間で、かなりの寒さになるかもしれません。当然、エンジニアはこの点に関して研究しています。タイヤの温め方とその挙動という面で、特に予選で影響があるのは間違いありません」
「シミュレーターでは何周も走り込み、チームも他のコースのデータに基づいて数多くのシミュレーションを行ってきましたが、それでもタイヤと路面という点で、どの程度のグリップが得られるのかは推測の域を出ず、すべてが未知数です」
「ただ、大量のデータを元にかなりの相関作業に取り組んできたので、十分に準備できていると感じています。良い形でFP1に入れればと思っています」
「もし舗装が十分に荒ければ、ロー・ダウンフォースのセットアップが有効になると思います。タイヤの熱入れという点で役立つでしょうし、ロングストレートでかなりのタイムをゲインできます」
「ですが、もし舗装がかなりスムーズなら、高めのダウンフォースが必要になるかもしれません。何れにせよFP1まで待つしかありませんが、僕としては兎に角、クルマの中で凍えるような寒さを感じないことを祈るだけです!」
「もう1つ興味深いのは、ストリップの町並みの照明が動く点ですね。他のナイトレースはコース外の照明がそれほど多くないので、この点については確認が必要ですが、コース上の照明は他の明かりを打ち消すほど明るいはずなので、気が散るようなことはないと思っています」
アルファタウリは現在、計21ポイントを獲得してコンストラクターズ選手権8位につけている。同7位のウィリアムズとのポイント差は7点だ。
F1ラスベガスGPは現地11月16日の20時30分(日本時間17日13時30分)からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。