角田裕毅を過小評価すべからず…デ・フリースへの過度な期待に警鐘、猶予が必要との指摘

鈴鹿サーキットのアルファタウリのホスピタリティで報道陣に対応するニック・デ・フリース、2022年10月9日F1日本GPCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1オランダGPの責任者であり元F1ドライバーのヤン・ラマースは、アルファタウリから2023年のF1にフル参戦するニック・デ・フリースへの過度な期待に警鐘を鳴らし、最低でも半年は様子を見守るべきとの考えを示した。

ピエール・ガスリーの後任に決定した27歳のオランダ人ドライバーは、F1では新人ながらも、2019年にFIA-F2選手権を制し、2020-21年シーズンのフォーミュラE世界選手権チャンピオンに輝いた実力と経験を持つ。

Courtesy Of FIA FORMULA 2

表彰台に立つ松下信治とルカ・ギオットとニック・デ・ブリース、2019年FIA-F2選手権モンツァ・レース1

また、メルセデスのF1リザーブ兼開発ドライバーとして豊富なシミュレーター経験を持つだけでなく、2022年シーズンはメルセデスとウィリアムズ、アストンマーチンの計3チームの最新世代のF1マシンをドライブしている。

ガスリーの抜けた穴を埋め、リードドライバーとしてファエンツァのチームを率いていくのは角田裕毅なのか、それともデ・フリースなのか。

角田裕毅は鈴鹿で行われた記者会見で、ガスリーから学ぶべき事も、減らしていかなければならないミスも多いとする一方で「ペース、とくに1ラップのペースにはかなり手応えを得ていますし、いい感じで成長できていると思っています」として、ガスリーの役割を引き継いでいくことに対して自信を示したが、ボスは5歳年上のデ・フリースをチームリーダーに据えるのが懸命だと考えている。

英Autosportによるとレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「ユーキは若く、ニックが持つようなバックグラウンドや経験がない。故にニックがチームを率いていくべきだ」と述べ、角田裕毅にプレッシャーをかけた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

コックピットの中で出走の時を待つアルファタウリの角田裕毅、2022年10月7日F1日本GP

レッドブル陣営内においてもそうだが、オランダ国内におけるデ・フリースに対する期待も当然に大きい。ただ、ヤン・ラマースは蘭De Telegraafとのインタビューの中で「感情的になり得る一方で、来年は現実的な期待に留めておいた方が良いとも思う」と語る。

「イタリアGPでのニックのパフォーマンスは素晴らしかったが、彼はモンツァが身体的に最も容易なコースで、ウィリアムズにとって今年最も合うコースだったという事も認めている」

creativeCommons David Merrett

キャスパー・エルガードとヤン・ランマース、2011年6月10日ル・マン24時間レースのドライバーズ・パレードにて

足掛け6年に渡ってF1に参戦した経験を持つ66歳の元ドライバーはまた、角田裕毅を過小評価するのは誤りで、デ・フリースの評価に際しては適応のために半年の猶予を与えるべきだと主張した。

「マシンやこれに付随するあらゆる要素に慣れるための時間として、我々はニックに来シーズンの前半を与えるべきだ」

「それに彼のチームメイトである角田も過小評価できない」

実際にどちらがチームを率いるのかは来年まで分からないが、レッドブルで求められているのは究極的には経験ではなく、あくまでもコース上でのパフォーマンスだ。

デ・フリースは契約を前にしたオーストリア・グラーツでのヘルムート・マルコとの会談について「レッドブルではパフォーマンスと勝利が全てであって、僕もそれに共感しているから、本当に率直で楽しい話し合いだった」と振り返っている。

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了