審判団を悩ませたラッセルとピアストリのF1日本GPインシデント
53周で争われた2024年F1日本GPの50周目に発生したジョージ・ラッセル(メルセデス)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の一件は、エンリケ・ベルノルディを含む4名の競技審判団を大いに悩ませる事となったようだ。
終盤に向けてピアストリから7位の座を奪うべくラッセルは、アウト側から最終シケインにアプローチすると、ピアストリがターンインのためにクルマをアウト側に振るや否や、イン側に素早く進路を変えた。
縁石を大きく乗り越え、車体半分以上がコース外に出る形でコーナーに進入したラッセルと接触したピアストリは、更なる接触を避けるべくコース外に逃れ、シケインをカットしてラッセルの前でコースに復帰した。
LAP 50/53
… but it's not going to be easy! 😱
Russell dives to the inside of Piastri at the chicane, they take avoiding action and then the McLaren defends hard into T1 🍿#F1 #JapaneseGP pic.twitter.com/1DxIdHO3Bb
— Formula 1 (@F1) April 7, 2024
最終的にスチュワードは一件を不問に付したが、判断を下す上で「多くの課題」があったと認めた。これは異例のことであり、頭を悩ませた事がうかがえる。
ドライバーの聴取ならびに映像証拠の検証から、ラッセルはコーナーのイン側に「飛び込んだ」わけでも、それによってコントロールを失ったわけでもない事が事実として認められた。
また、ターン16に進入する際、ラッセルのフロントアクスルがピアストリのクルマのミラーの前にあったことも確認された。FIAのドライビング基準に基づけば、これはラッセルがピアストリとレースをする権利があった事を意味する。
しかしながらラッセルは縁石に乗り上げた事でクルマが跳ね上がり、その結果としてピアストリと軽く接触した。
これを受けてピアストリは、より深刻な事故へと繋がる可能性を排除すべく、ターン16の出口でコース外に逃れた。ただ実際には、コース外に出なくとも次のコーナーをターンインできるだけの十分なスペースが残されていた。
ドライビング基準には、衝突を避けるためにコースアウトしたドライバーや、コースアウトを余儀なくされ、安全にコースに復帰してポジションを維持したドライバーにどのような行動が求められるかについては何も書かれていない。
スチュワードは明言していないが、お咎めなしという決定には、ドライバー及びチーム代表者の意見が少なからず影響を与えたものと見られる。
スチュワードは不問に付した理由を明確に示さない代わりに、「決定打」ではないと前置きしつつも、このインシデントに関して両当事者がペナルティを科すに値しないという点で合意したと説明した。