イタリアGPのモンツァに設置されたレッドブルのモーターホーム
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トロロッソ・ホンダ、夢のまた夢と思われた4戦連続入賞に向けて大きく前進

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夢のまた夢だと思われていたパワーサーキットのモンツァでの入賞に向け、トロロッソ・ホンダはまた一歩前進してみせた。2日目を迎えた第14戦イタリアGP。最後のプラクティス走行とスターティンググリッドを決する予選が行われ、若手ポープのピエール・ガスリーがまたもQ3進出をやってのけた。

現地正午からのプラクティス3は、厚い雲の切れ間からところどころ青空がのぞき、気温17℃、路面温度27℃のドライコンディションでスタート。レッドブル・トロロッソ・ホンダの2台は、まずはミディアムタイヤで1周を走行しピットイン。その20分後に新品スーパーソフトで再度コースインし、予選を想定したアタックシミュレーションを行った。

徐々にタイムを伸ばした2台はガスリーが1分23秒438、ハートレーが1分23秒459の自己ベストを記録。2台は同じタイヤで10周を走行した後ピットへと戻った。終盤に新品のスーパーソフトで再びコースに出た2台は、ガスリーが3回のアタックで次々にベストラップを更新し、最終的に1分22秒631で12番手。ハートレーも1分23秒164とタイムアップを果たし20番手でセッションを終えた。

午後3時の予選開始直前、若干雨がぱらついたもののコンディションに影響なく、予選はドライのままスタートした。真っ先にコースインしたハートレーは、1セット目のタイヤで1分23秒684、22秒812、22秒711とタイムを削り、ガスリーも同様に1分23秒836、22秒550と自己ベストを伸ばした。

F1イタリアGP3回目のフリー走行に挑んだトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリー
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2セット目に履き替え臨んだ最後のランではガスリーが21秒834、ハートレーが21秒934とさらにタイムを更新。両者の差は僅かコンマ1秒であったが、ミッドフィールドは超大激戦。ガスリーが12番手でQ2進出を果たした一方、ハートレーは18番手でノックアウトを喫した。

ガスリーはQ2で1セット目に22秒174をマーク。2セット目には21秒667のベストタイムで10番手に入れ込んだ。フェルナンド・アロンソとケビン・マグヌッセンのインシデントにも救われこのポジションを死守。サプライズのQ2突破を成し遂げ、ハンガリーGP以来となる2戦ぶりのQ3進出を果した。

ポール争いのQ3では、1回目を中古のスーパーソフトタイヤでアタックし22秒918。新品に履き替え挑んだ本番の2回目では21秒350と自己ベストを更新し、ウィリアムズのランス・ストロールを抑えきり9番手で予選を終えた。エンジン性能がラップタイムに大きくするモンツァでのこのリザルトは、まさに大金星と言うべき見事な結果であった。

日曜の決勝レースでガスリーは5列目9番手から、ハートレーはニコ・ヒュルケンベルグとダニエル・リカルドのPU交換ペナルティの恩恵を受け、8列目16番手からスタートする。モンツァはモナコ以上にオーバーテイクが難しく、昨年のレースで計測されたオーバーテイクは僅かに21回。堅実なスタートが切れさえすれば、4戦連続入賞に大きく前進する事になる。

イタリアGP決勝レースは9月2日(日)午後15時10分、日本時間午後22時10分にスタートの時を迎える。

トロロッソ・ホンダ:F1イタリアGP予選を終えて

ピエール・ガスリー予選: 9位, FP3: 12位

予選が始まる前はQ2進出すら怪しいなって思ってたのに、Q3にまで進めたんだから本当に信じられないよ!予選では全てが超上手くいってくれたんだ。9番手からスタートするなんて最高すぎるよ。

前のマシンとのギャップを適切に保った事でスリップストリームの効果を最大限に活かせたし、今シーズンのベストラップだったと思う。9番手はベストリザルトに違いないし、それをトロロッソの母国レースで達成できたんだから夢みたいだよ。

昨日の段階ではマシンの感触は最高とは言えない状態だったけど、昨夜の間に上手く改善できて、今はかなり良い感じに仕上がってるよ。今日は取り敢えず仕事の半分が終わったってだけだから、もう半分を明日やり遂げてみせるよ。

モンツァはターン1までの距離がすごく長しかなり接近したレースになるだろうから、明日はスタートを確実に決めて、その後は適切なタイミングで良いポジションをキープしながら走る事が必要になる。

上位からのスタートだからアクシデントに巻き込まれるリスクは少ないと思うけど、トラブル無くスタートして良い位置につけ、その後は限界までプッシュしてみるよ。

ブレンドン・ハートレー予選: 18位, FP3: 20位

最後のラップは別にそんなに悪くなかったんだけど、今日の予選は何しろ超接戦だったからね。ターン1でちょっとミスがあったけど、それを除けば問題ないラップだったんだ。マシンの感触は悪くなかったし、チームは僕とピエールの好みに合わせてマシンを微調整し、素晴らしい仕事をしてくれた。

ミッドフィールドの今日の争いは本当に接近していて、F1としては信じられない位のレベルだったんだ。でも、僕にとってはそれが悪い方に転んでしまった。Q2に進出したピエールとのタイム差はコンマ1秒足らずだったのに、その中に6台がひしめいていたんだ。

明日のレースが難しくなったという意味で18番手にはガッカリだけど、何台かがペナルティを受けるから、スタートグリッドが少し上がるのが救いだね。

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

スパとモンツァはエンジンパワー要求度が高いサーキットであり、1週間前のベルギーGP予選では11番手を獲得し本当に満足する結果が得られたのですが、ここモンツァそれを上回る9番手とは…ファンタスティックとしか言いようがありません。

ピエールが素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれたことはもちろんですが、完璧なタイミングでコース上に送り出したチームと、トウでサポートしてくれたブレンドンの影の支えがあっての結果だったと思います。

今週末はこれまでのところ、パワーユニット側は順調に機能しており、予選では全ての可能性を引き出す事が出来ました。ですが、重要なのは決勝レースが行われる明日であり、ホームレースとなるトロロッソのためにも最善を尽くしていきたいと思っています。

ジョナサン・エドルズチーフレースエンジニア

少し複雑な気持ちだよ。難しいと予想していたモンツァで、またもピエールがすばらしい走りを見せ9番グリッドを獲得してくれた一方、残念ながらブレンドンは僅か0.05秒差でQ2進出を逃してしまったからね。

予選Q1は、誰もがみんな他のマシンのスリップストリームを使おうとして率先して先頭を走らなかったから難しいセッションだったよ。ピエールは終盤にすばらしいラップを走ってQ2へ進出してくれた。Q2も同じようにスリップストリームを使うのが難しく接戦だったわけだけど、ここぞという走りを見せたピエールが0.002秒の差でQ3進出を決めてくれた。

Q3ではパッケージの性能を全て出し尽くせたし、ラップも凄く良かった。昨日から今日にかけて行ったセッティングの調整が上手くいって、ストレートスピードが改善していたし、ドライバーたちもマシンバランスにかなり満足していた。

金曜日のロングランに手応えを感じているから、明日のレースには期待してるんだ。予選結果に大喜びの地元ティフォシたちの歓声をピットウォールで聞いた時は、本当にうれしかった。昨日の悪天候に耐えてくれた熱心なファンに報いるような予選になったと思う!


ポールポジションは母国フェラーリのキミ・ライコネン。2番手に僚友セバスチャン・ベッテルが続きフェラーリがお膝元モンツァで18年ぶりにフロントロウを独占した。3番手にはメルセデスのルイス・ハミルトンが続く結果となった。

2018年F1第14戦イタリアグランプリ決勝レースは、日本時間9月2日(日)22時10分から行われ、1周5,793mのモンツァ・サーキットを53周する事で勝敗を決する。

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