優勝してガッツポーズを取るウィル・パワー、2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レースにて
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インディカー第12戦IMS《決勝》:パワーが歴代5位タイの40勝!佐藤琢磨、残り2周で小突かれ10位後退も「堅実な仕事ができた」

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2021インディカー・シリーズ第12戦ビッグマシン・スパイクド・クーラーズGPの決勝レースが現地8月14日(土)にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で行われ、ベライゾン5Gチーム・ペンスキーのシボレー12号車を駆るウィル・パワーが待望の今季初勝利を飾った。

今回の勝利によってパワーは、2018年のインディ500制覇を含めてIMSでの勝利数を6回に伸ばすと共にキャリア通算勝利数を40回として、4度のインディ500ウィナーであるアル・アンサーと並ぶ歴代5位に浮上した。

「このチームに相応しい勝利だ。この一年に渡る彼らの優秀さを言葉で言い表す事はできない。ピットストップも完璧だった」とパワー。

「彼らは僕に(勝てるだけの)クルマを与えてくれたが、何度か不運に見舞われ、僕自身も何度かミスをしてしまっていた。マシンをビクトリーレーンに並べることができて本当に嬉しい。ようやくホッとできたよ!」

2位はロマン・グロージャン(デイル・コイン)。パワーから1.1142秒遅れでチェッカーフラッグを受け、同じIMSのロードコースで行われた5月のGMRグランプリに並ぶ今季のベストリザルトを達成した。3位には前戦ナッシュビルの最終盤にクラッシュを喫したコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポーツ)が滑り込んだ。

表彰台に上がるウィル・パワー、ロマン・グロージャン、コルトン・ハータ、2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

表彰台に上がるウィル・パワー、ロマン・グロージャン、コルトン・ハータ

2014年のシリーズチャンピオンであるパワーは、後続のグロージャンが200秒あったプッシュ・トゥ・パスを65周目までに使い切った事にも後押しされ、79周目のリスタートでトップをキープすると、残り6周でグロージャンを抑え切った。

グロージャンは「早い段階でプッシュ・トゥ・パスを使い果たしてしまった。周回遅れのクルマを確実にパスするために序盤にかなりの量を使わなきゃならなくてね。その点で終盤ではウィルにアドバンテージがあったし、僕としてはただひたすら、ミスをしないように走るだけだった」と語った。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レースにて

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は15番グリッドに着き、1周目を終えて13番手に浮上。幸先良いスタートを切った。

その後はアンダーカット戦略と、フェリックス・ローゼンクビストやエド・ジョーンズ、クリスチャン・ルンガーらをコース上でオーバーテイクするなどして終盤までに8番手にポジションを上げた。だが、残り2周でジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にリアを突かれ、2ポジションダウンの10位でフィニッシュした。

レースを終えた佐藤琢磨は「ミッドフィールド15番手からのスタートとなるなど、今回のインディGPは明らかに厳しい週末でした」と語る一方、レース全体としては「ポジションを上げていき8番手にまで前進する事ができました」と評価した。

最終盤のニューガーデンとの一件については「かなり厳しいバトルで、(ニューガーデンが)ターン1でインサイト飛び込んできて芝に追いやられてしまい、2ポジションを落とす事になってしまいました」と悔しさをあらわにする一方「チームとして8位フィニッシュに足る堅実な仕事ができたと思います」と語った。

2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レースCourtesy Of INDYCAR

2021年8月14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦決勝レース

85周のレースはコーションがない状態が67周続く展開となり、タイヤ及び燃料の観点から様々な戦略が展開された。その結果、パワーが最多56周をマークしたものの、デビュー戦のルンガーを含む6名がリードラップを分け合う格好となった。

最初のフルコースイエローは残り18周のタイミングで訪れた。4番手を走行していたアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)がエンジントラブルに見舞われコース脇にクルマを停めた事によるものだった。

パロウはオープニングラップからトラブルの予兆を感じており、1周目終了後の時点で既に無線でチームに懸念を伝えていた。

「何が起きていたのかは分からないけどマッピングに問題があったんだ」とパロウ。

「60周ほど走ったけど、少しパワーを失っていただけで大きな問題はなかった。でも表彰台を目指していた最中にリタイヤを余儀なくされてしまった」

パトリシオ・オワード(マクラーレンSP)が5位でフィニッシュした事で、ランキング首位のリードは21点にまで縮まる事になったがパロウは笑顔を絶やさない。

「せっかく良い走りができていただけに残念だけど、これはコース上で起きた単なる問題だ。これからも戦い続けてポイントを取り戻してみせるよ」

パロウのリタイヤを経て残り14周でグリーンフラッグが振られると、プッシュ・トゥ・パスを使い果たしていたグロージャンがハータを交わす離れ業をやってのけ2番手に浮上した。佐藤琢磨はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)を交わして8番手にポジションを上げた。

2度目のコーションは残り9周だった。スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)に衝突されたリーナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター)がスピンを喫した事によるものだった。

ランキング2位という立場で今回のイベントに臨んだスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は今季ワーストの26番グリッドからレースをスタート。同じく今季ワーストタイの17位でフィニッシュし、ランキング3位に後退した。

セントルイスで行われる次戦ゲートウェイは今季最後のオーバルレースとして8月21日(土)夜に開催される。

ハイライト動画

2021年インディGP決勝結果

Pos. Start Driver Gap
1 2 ウィル・パワー
Team Penske
–.—-
2 3 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
1.1142
3 5 コルトン・ハータ
Andretti
2.3498
4 10 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
3.4382
5 1 パトリシオ・オワード
McLaren SP
4.1052
6 7 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
5.3233
7 16 グレアム・レイホール
RLL Racing
5.8553
8 20 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
6.2497
9 11 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
7.0080
10 15 佐藤琢磨
RLL Racing
7.9449
11 8 コナー・デイリー
Ed Carpenter
9.3596
12 4 クリスチャン・ルンガー
RLL Racing
9.8379
13 19 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
10.6234
14 17 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
12.1199
15 14 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
12.5781
16 12 シモン・パジェノー
Team Penske
16.4169
17 26 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
17.1924
18 13 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
17.3273
19 22 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
18.1585
20 18 マックス・チルトン
Carlin
18.7489
21 23 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank
19.5451
22 24 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
20.8450
23 21 スコット・マクラフラン
Team Penske
21.0115
24 9 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
22.4946
25 27 コーディー・ウェアー
Dale Coyne
2 lap
26 28 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
4 lap
27 6 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
18 lap
28 25 RC・エネルソン
Top Gun Racing
73 lap

第12戦消化時点でのポイントランキング

第12戦出走者を対象に、レース結果を受けてのポイントランキングを以下にまとめる。

Pos. Driver Pts. Total Gap
1 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
5 415 0
2 パトリシオ・オワード
McLaren SP
32 394 -21
3 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
13 381 -34
4 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
25 360 -55
5 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
22 353 -62
6 グレアム・レイホール
RLL Racing
26 312 -103
7 コルトン・ハータ
Andretti
36 311 -104
8 シモン・パジェノー
Team Penske
15 295 -120
9 ウィル・パワー
Team Penske
53 278 -137
10 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
6 269 -146
11 佐藤琢磨
RLL Racing
20 251 -164
12 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
32 246 -169
13 スコット・マクラフラン
Team Penske
7 213 -202
14 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
28 213 -202
15 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
40 206 -209
16 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
12 189 -226
17 コナー・デイリー
Ed Carpenter
19 179 -236
18 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
15 175 -240
19 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
8 174 -241
20 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
16 169 -246
22 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
17 135 -280
23 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank
9 134 -281
24 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
5 107 -308
26 マックス・チルトン
Carlin
10 99 -316
28 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
11 72 -343
33 コーディー・ウェアー
Dale Coyne
5 26 -389