貴重なテストを台無しにしたホンダF1…またもエンジントラブル – 2017年F1バーレーンテスト初日コメント

ガレージから出るマクラーレン・ホンダcopyright honda.co.jp

18日に行われたF1公式バーレーン合同テストで僅か17周しか走行できなかったマクラーレン・ホンダ。テスト初日を振り返ってチームがコメントを発表した。

またも再発したERSの水漏れトラブル

マクラーレン・ホンダのテストドライバーであるオリバー・ターベイにとって、今日のテストはおよそ2年ぶりのF1マシンでの走行であったが、テスト開始早々にエネルギー回生を司るERSに水漏れが発生。僅か2周を走ったところでマシン停止を余儀なくされた。チームは午後の走行に向けてエンジン交換作業を実施、セッション残り1時間程のところでようやくコースに復帰した。


©McLarenF1 ガレージに戻されるオリバー・ターベイ

ターベイはこの日17周を走行し、トップのルイス・ハミルトンから3秒653遅れの1分35秒011をマーク。最下位に沈んだ。この日の最多周回数を記録したザウバーのマーカス・エリクソンは106周を走破。チーム側は「本日のテストでは走行距離は短かったものの、チームは空力およびPUに関する有効なデータを収集することができました」と発表したが、貴重な2日間の走行の半分を棒に振ってしまったことはかなりの痛手と言える。今のF1では、コスト削減の観点から厳しいテスト制限が行われている。

バーレーンテストを終えてのコメント

オリバー・ターベイ
周回:17 / 1:35.011

「最後にF1をテストして2年も経つから、今回マシンに乗ることを楽しみにしてたんだ。この機会をくれたマクラーレン・ホンダに心から感謝してるよ。今朝マシンに問題が発生してしまって、かなりの走行時間をロスしてしまったんだ。残念だよ。でも僕にとっては一周一周が貴重なものだし、セッションの最後に再び走ることができて良かった」


©honda.co.jp エンジニアと話をするターベイ

「今日の終盤には幾らか走行できたんだ。僕はマシンとシミュレーターとの相関を取る作業のサポートをしなきゃならないから、(少ない走行の中でも)何とかしてマシンの感触を得ようと頑張ったよ。これからMTC(マクラーレン・テクノロジー・センター)に戻るけど、ファクトリーでの開発に役立てることがあればいいなと思ってる。僕はシミュレーター作業を多く担当してるんだ。実際のコース上とシミュレーターとの同期を取るのは凄く大事なことなんだよ。限られた走行になってしまったけれど、何かしらは得られたと思ってる」


©eboullier 懸命に作業にあたったスタッフたち

「ガレージの皆は、僕をコース上に戻すためにすごい懸命に作業をしてくれた。彼らにお礼を言いたい。僕が今日目指していたのは、パッケージ全体としてのマシンがどのような感じなのかを把握することにあったんだ。マクラーレンのテストドライバーになって8年が経つけど、今回の新型マシンは僕が最後にテストした2015年のマシンとはかなり違うように感じたよ。実際にコース上でマシンに乗って得られる情報はとても大事だと思う。明日はストフェル(・バンドーン)がテストプログラムを担当するけど、僕もそばで見てるつもりなんだ。すごく有益だからね」

「今回のテストの準備のためにここ3ヶ月間ハードなトレーニングを積んできたんだ。今季のマシンが身体的に厳しいことは分かっていたからね。高速コーナーではすごく速かったし、今年の車は運転しててすごく楽しいと思う」

ホンダ「ロシアGPまでに解決を目指す」

今日のエンジントラブルについて、ホンダF1のチーフエンジニアを務める中村聡は、バーレーンGPでのトラブルの時と同様の箇所に水漏れが発生したと述べており、今月28日から始まるロシアGPまでの解決を目指し作業に取り組んでいると言う。これはつまり、テスト2日目となる明日の走行でも同様の問題が発生する可能性があるということであり、仮に明日も今日と同じような状態に陥ったとするならば、グランプリ1つ分の走行距離をまるまる失うということを意味する。なんとしてもそれだけは避けたいところではあるが、別仕様のERSを数種類持ち込んでもいない限りはなかなか難しいのも現実だ。いや、問題の要になっている箇所はエンジン以外の所にある可能性すらあるわけだから、それでも難しいかもしれない。

マクラーレン・ホンダはシーズン前テストでパワーユニットの問題が多発していたものの、開幕戦オーストラリア、第二戦中国GPともにエンジン側の目立ったトラブルは全く見られていなかった。ところがここバーレーンではフリー走行、予選、決勝と立て続けにERSのトラブルが発生している。現時点では調査中とのことだが、サーキットあるいはバーレーン特有の気候に起因する問題である可能性が高いものと思われる。それ故、現状のままのパワーユニットであっても、ロシアGPをトラブルフリーで過ごす可能性は低くはない。

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