周冠宇の衝突なければ「入賞を狙えた」とリカルド、1周目に最後尾転落も逆転13位…その秘密とは?

決勝レースに向けてヘルメットを被るダニエル・リカルド(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年7月23日(日)F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ダニエル・リカルド(アルファタウリ)は周冠宇(アルファロメオ)との一件がなければ、ハンガロリンクで行われたF1復帰の初戦をポイントフィニッシュで飾れた可能性が高いと感じている。

13番手からF1ハンガリーGPの決勝レースに臨んだリカルドは、オープニングラップのターン1で周冠宇に衝突され最後尾に転落した。ブレーキングポイントを見誤った周冠宇がリカルドのリアに、そのリカルドはピエール・ガスリー(アルピーヌ)に、ガスリーは僚友エステバン・オコンにぶつかった。玉突き事故だった。

それにも関わらずリカルドは、チームメイトの角田裕毅を上回る13位でフィニッシュした。ヘルメットを脱いだリカルドは「もしスタートでポジションを維持していれば、今日はポイントを狙って戦えたはずだ」と語った。

幸いにもクルマへのダメージは限定的だった。

「クルマのリアを見てみたらディフューザーの裏が少し傷ついていたけど、チームはほとんど問題ないって言ってた。あれがなければ1秒速く走れたって言いたいところだけど、程度の差こそあれ問題なかったと思う」とリカルドは説明した。

転落してもリカルドは腐ることなく、何が重要であるかを見誤らなかった。

「ぶつけられた瞬間、間違いなくフィールドの最後尾に転落するなって分かったからガッカリしたけど、次に頭に浮かんだのは『どうかダメージがありませんように』だった。レースをやり抜いてクルマについて学ぶ必要があったからね」

ハードタイヤを履いた第2スティントは誰よりも短く、僅か11周に過ぎなかったが、これはローガン・サージェント(ウィリアムズ)に前を塞がれる状況下で走るより、クリーンエアーの中で走行した方が賢明との判断によるものだった。

この判断こそが逆転13位フィニッシュの鍵だった。これによりリカルドは40周に渡る最終スティントの大半をクリーンエアーの中で走行。大きくポジションを上げた。

実際、最後のピットストップを終えた時、リカルドは最後尾だった。ハンガロリンクはコース上での追い抜きが極めて難しいため、戦略的判断がモノを言う。

「この世代のマシンであっても、ダーティーエアーの中で前のクルマを追いかけるのが間違いなく難しいって事は分かっていた。このサーキットだと尚更にね」とリカルドは振り返る。

「前のクルマがかなり早い段階でピットに入ったんだけど、その途端にタイヤにグリップ力が戻ってきたから、クリーンエアーの中で何ができるか確認してみようと思ってんだ。結果、その方が良かったよ」

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年7月23日のF1ハンガリーGP決勝レースにおける各ドライバーのタイヤ戦略

Courtesy Of Red Bull Content Pool

ハンガロリンクで決勝レースを戦うダニエル・リカルド(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年7月23日(日)F1ハンガリーGP

暑く厳しいドライコンディションの中、70周のフルディスタンスを走り切った事でリカルドは、今後の更なる活躍に向け、まだまだ慣れないAT04に対する理解を深め、ブランクで鈍ったフィジカルの仕上がり具合を確認した。

「答えを見つけなきゃならない疑問がまだたくさんある状態だから、クリーンエアーを得ながらステアリングを握って速さを維持し、何度かミスを犯すことで、そこから学び、クルマの得手不得手を確認する。レースを通して多くを学んだ」

「正直に言うと、レースディスタンスを走るのは8ヶ月ぶりだから、体力的にはキツかった。特にここはタフなレースの1つだしね。でもこうして笑顔で話せているし、思っていたよりずっといい感じだった」

「今後に向けて改善していくために、そして自分が犯した過ちから学ぶために、ちょっとしたメンタルノートを作ってチームと共有するつもりだ」

「ただ全体としては満足できる要素がたくさんあったよ」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

観客の声援に応えるダニエル・リカルド(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年7月23日(日)F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)


7月23日(日)にハンガロリンクで行われた2023年F1第12戦ハンガリーGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2番グリッドからの逆転勝利を飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位表彰台にセルジオ・ペレス(レッドブル)が滑り込む結果となった。

スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは7月28日のフリー走行1で幕を開ける。

F1ハンガリーGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了