選手権底辺のアルファロメオ、突如トップ5に躍り出た幾つもの要因
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アルファロメオは開幕10戦を通して一度たりともシングルグリッドを獲得できていなかったが、7月22日のF1ハンガリーGP予選では周冠宇がキャリアベストの5番手、バルテリ・ボッタスが7番手という驚きの結果を叩き出した。
これは本家フェラーリにとっても驚愕のリザルトだった。シャルル・ルクレールとカルロス・サインツはいずれもF1での2シーズン目を迎えたばかりの若手中国人ドライバーの速さに太刀打ちできなかった。
初日セッションのデータを元にしたフェラーリによる予選シミュレーションはアルファロメオの好成績を予言していたが、ルクレールは「何かの間違い」だと感じた。だが蓋を開けてみればご覧の通りで、ルクレールは「彼らは僕が間違っていた事を証明してみせた」と語った。
当人達にとっても予想を超えるリザルトだった。5-7番手という結果についてボッタスは「予想を更に超えていた」と述べた。初日の段階ではQ3の可能性に触れる程度だった。
アルファタウリとコンストラクターズ選手権最下位を争うアルファロメオが突如、トップ5に躍り出た理由は何処にあるのだろうか?
極めて高いレベルで競われるF1の世界において、単一要素が結果を大きく左右する例は殆どない。パドックの驚きを誘った今回のアルファロメオのパフォーマンスも様々な要素の複合によるものだろう。
まずはコースとマシンの相性が考えられる。
空気抵抗が大きいC43は高速域でのパフォーマンスを苦手としていたが、ハンガロリンクは低中速コーナーが主体のツイスティーなレイアウトが特徴だ。ボッタスは「レイアウトが僕らに合っていたようで、パッケージを最大限に活用することができた」と認めた。
アルファロメオは前戦イギリスGPでフロアに焦点を当てたメジャーアップグレードを導入した。これは主に高速コーナーの改善に目を向けたものだが、この日の結果について周冠宇は「新しいパッケージの最適化に向けたチーム一丸となっての賢明な努力の賜物」だと指摘した。
パッケージの美味しいところを引き出す術を見つけ出したのは間違いなさそうだ。
アレッサンドロ・アルンニ・ブラービ代表も周冠宇に同意し「シルバーストンで導入したアップグレードを微調整することで、一歩前進するために必要な追加のパフォーマンスを解放することができた」と説明した。
ハンガロリンクでは代替タイヤ配分方式(ATA)が導入された。初めての試みゆえ、各チームは最適なタイヤの使い方に頭を悩ませた。実際、プラクティスを通した各コンパウンドの使用方法には大きな開きがあった。
下剋上は日常を揺さぶる異物に誘発される。ATAはチームが作り上げてきた”正攻法”が機能しない土壌を演出した。結果、フィールドは稀に見るほどに接近した。
過去20年を通して今回のハンガリーGP予選ほどトップ10が接近した例はなく、ポールから10番手までのギャップは2003年ブラジルGP予選と全く同じ0.577秒だった。
僅かな差が大きな違いを生む状況の中、周冠宇は3ラウンドを通して3度のトラックリミット違反を取られながらも、ここぞという局面で自己ベストを刻んでみせた。
「前のプッシュラップが抹消されたため、最後ラップで大きな一歩を踏み出さなきゃならない事は分かっていた。そしてそれをやり遂げた。今日の仕事ぶりには本当に満足だ」と周冠宇は語った。
ただボッタスが「まだ仕事は半分しか終わっていない」と強調するように、ポイントが得られるのは日曜のレースだが、例えレースペースで勝るライバルが後方に並んでいるとは言え、ここは抜けないハンガロリンク。ボッタスはこの点に触れて「僕らの大きな助けになるはずだ」と述べ、大量ポイント獲得に自信を示した。
2023年F1ハンガリーGP予選ではルイス・ハミルトン(メルセデス)が2年ぶりにポールポジションを獲得し、2番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間7月23日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4381mのハンガロリンクを70周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。