デ・フリース起用は「一時しのぎ」だったとホーナー、オランダGPまで猶予を与えなかった理由
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レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、育成プログラムの出身ではないニック・デ・フリースの起用について「一時しのぎ」の決断だったと明かし、最初から一貫して難色を示していた事を初めて公に認めた。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは今年6月、ドライバー人事を巡って最後に対立したのはピエール・ガスリーの後任としてデ・フリースが俎上に載った時だと明かし、反対したホーナーが正しかったとの考えを示した。
デ・フリースの解雇を経て収録されたポッドキャスト「F1 Nation」の中でホーナーは、28歳のオランダ人ドライバーに敬意を払いながらも、契約の締結はあくまでも当座のものだったと説明した。
「ニックはフォーミュラEとフォーミュラ2でチャンピオンに輝いた非常に有能で経験豊富なドライバーだ」とホーナー。
「ただ年齢的に言えば若いドライバーではなく、ジュニアプログラムにどのようにフィットするか私には分からなかった。初めから一時しのぎだったんだ」
デ・フリースはアレックス・アルボンの代役として昨年のモンツァでのデビュー戦で入賞を飾る活躍を見せたが、アルファタウリでは開幕10戦で同じAT04をドライブする角田裕毅が2回の入賞を果たした一方、一度もトップ10フィニッシュする事ができなかった。
「ニック・デ・ブリースにとっては明らかに困難な状況になりつつあったが、F1での経験が浅いとは言え本当に経験豊富なドライバーであったため、彼には大きな期待が寄せられていた」とホーナーは語る。
「一般的に言って、ニックはあまり上手くいっていないのではないかという考えがあったことと思う。我々にとっての問題は、もし状況を変えるのであればどのような選択肢があるのかという点にあった」
「レッドブル・レーシングとしての観点から見ると、ダニエルがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかという事が私にとって最も興味深いオプションだった」
「そしてこういう決断に至った。時間はかからなかった」
ハンガロリンクとスパ・フランコルシャンというデ・フリースが勝手知ったるコース、そしてサマーブレイク明けの彼にとっての母国オランダGPまで猶予を与える事は検討しなかったのだろうか?
ホーナーは「状況は明らかだった」として、これ以上の猶予を与えることに「何の意味があるのか?」と自問自答した事を明かし、「何か手を打つのであれば、ダニエルに12レースを与えて、彼が何ができるかを見た方がいい」と主張した。
デ・フリースの後任としてリカルドの起用が発表されたのは、マクラーレン離脱後初めてF1マシンのステアリングを握ったシルバーストン・サーキットでのテスト当日だった。
ただ、決定そのものはリカルドのパフォーマンスを慎重に評価するまでもなかったようで、ホーナーはマルコがデ・フリースに電話をかけたのはリカルドが「11周目」程度を消化したテスト開始から程なくしての事だったと明かした。