ホンダ、インディカー撤退を視野…ROIに課題 F1への投資拡大の可能性も
投資収益率(ROI)の低さを理由にホンダは、現行契約が満了を迎える2026年末を以て、エンジンサプライヤーとして参戦しているインディカー・シリーズから撤退するシナリオを視野に入れているようだ。
ホンダは2003年より北米最高峰のオープン・ホイール・シリーズに参戦しており、今季は全27台のエントリーの内、15台に2.2リッターV6ツインターボ・エンジンを供給した。
アメリカン・ホンダのモータースポーツ部門でナショナル・マネージャーを務めるチャック・シフスキーは米「RACER」とのインタビューの中で、年間数千万ドルのコスト削減に繋がるエンジン・レギュレーションの大幅な変更を望んでいると語った。
コスト削減が実現しない場合についてシフスキーは「別のことをするだろう。NASCARかもしれないし、F1への更なる投資かもしれない。あるいは、モータースポーツ以外の何かかもしれない」と述べ、インディカー・シリーズから撤退し、リソースを他のプロジェクトに再配置する可能性に言及した。
エンジンサプライヤーとして現在、インディカー・シリーズに参戦しているのはホンダとシボレーの2社のみだ。
シフスキーは「第3のマニュファクチャラーがいないのには理由がある。それはコストに関係している。リターンが投資額に見合うものであるならば、他に幾つものメーカーが参入しているはずだ」と語った。
1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンを先行採用するF1は現在、4メーカーがエンジンサプライヤーとして参戦しており、2026年には6メーカー、2028年には新たにキャデラックが加わり7メーカーに増加する。
レギュレーション変更に依らないコスト削減のシナリオとしては第3のメーカーの参入が挙げられる。シフスキーは供給先が「9台または10台に減れば、間違いなくコストが削減され、収益が向上する」と語った。
シリーズを所有するペンスキー・エンターテインメントのマーク・マイルズCEOもコスト削減の必要性を認識しており、「最善の方法は第3のOEMを見つけることだと思う」としている。
インディカーは当初、2022年に新型2.4リッターV6ハイブリッド・エンジンを導入する計画を立てていたものの、新型コロナウイルスのパンデミックを受け2023年に先送りとした。
その後、サプライチェーンの問題を受け2024年に延期すると共に、エネルギー回生システムを組み合わせる内燃エンジンを新型2.4リッターV型6気筒ではなく、現行の2.2リッターV型6気筒へと変更した。
しかしながら今月7日、2024年のシーズン開幕ではなく5月の第108回インディ500後に導入との見通しが示された。伝えられるところによると、信頼性および生産上の懸念が理由とされる。