ヘルムート・マルコ「もう諦めた」若手ドライバー発掘方針を転換
Published:
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはこれまで、将来のF1ワールドチャンピオン候補足る若手ドライバーの発掘と育成を目指してきたが、どうやら求める人物像という点で方針を転換したようだ。
1960年代後半から1970年代にかけて、F1やスポーツカーレースのドライバーとして活躍したマルコは、1972年のフランスGPでの事故で視力を大きく失いキャリアに終止符を打つと、その後はレッドブル・レーシングの取締役として、特に若手ドライバーの発掘と育成において中心的な役割を果たしてきた。
セバスチャン・ベッテルやダニエル・リカルド、ピエール・ガスリーやカルロス・サインツ、そして角田裕毅など、マルコがその才能を見出し、F1へと導いたドライバーは数知れない。
マルコは、かなり若い段階からドライバーをトップレベルの競争環境に置くアプローチを採ってきた。それは期待されるパフォーマンスを発揮できない場合、シーズン途中であってもプログラムから外されるほどに厳格なものとして知られている。
今年、3度のF1ワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンもマルコに見出された一人だ。
シングルシーターにすら乗った事のない段階で目をつけられ、17歳165日という史上最年少の若さでトロ・ロッソからF1デビューを果たすと、これまでに優勝52回、表彰台96回、グランドスラム4回を達成し、3度のタイトルを手にした。
マルコはフェルスタッペンに続く次世代のスター候補の発掘に汗を流してきた。そしてF1ラスベガスGPを前にオリ・ガータをレッドブル・アカデミーに迎え入れた。
19歳のドイツ人ドライバーは2019年のユーロ・フォーミュラ・オープン選手権でチャンピオンに輝き、今季はFIA-F3選手権でランキング8位を獲得。カンポス・レーシングから今週末のマカオGPに参戦する。
マルコは当然にガータの開花を望んではいるものの、もはや積極的にF1ワールドチャンピオン候補を探す気はなく、レースで勝てる見込みのあるドライバーを発掘、育成する方針に切り替えたようだ。
オーストリアの「OE24」とのインタビューの中でマルコは、ガータについて問われると「いい名前だし、いいやつだ。彼はロンドンとモンテカルロに住むドイツ人なんだ。幾つかのテストで速さを見せた。来年こそはF3で自身を証明しなければならない」と語った。
ベッテルやフェルスタッペンとの比較を求められるとマルコは「彼にはある種の大胆さがあるが、新しいフェルスタッペンを探すのはもう諦めた。そんなドライバーは存在しない。将来のグランプリウィナーを見つけることができればそれで満足だ」と答えた。
フェルスタッペンは今年、僚友セルジオ・ペレスの手を借りなくとも、独力でコンストラクターズチャンピオンシップを制覇するのに十分なポイントを獲得。残り2レースを残して20戦中17勝を挙げ、71年前にアルベルト・アスカリが記録したシーズン最高勝率記録を更新した。