釈明に追われるハミルトン、ワクチン陰謀論を否定するビル・ゲイツを「嘘つき呼ばわり」する動画を共有
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用のワクチンに関するデマを、1830万人ものフォロワーに拡散したとして多方面から批判の声が上がり、メルセデスのルイス・ハミルトンが釈明に追われた。
6度のF1ワールドチャンピオンは、カナダ系アメリカ人のコンテンツクリエイター、キング・バッハが、CBSNのインタビューに応じるビル・ゲイツの動画に「嘘つき」と揶揄するコメントを付けた投稿を自身のInstagramで共有した。
マイクロソフトの共同創業者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種によって、世界中の人々に行動をモニタリングするためのマイクロチップを埋め込もうとしているとの陰謀論の標的にされている。
データ分析会社「YouGov」の調査によると、共和党支持者の実に44%がこの陰謀論を信じ込んでいるが、世界的に知られる非営利のファクトチェック機関「FactCheck.org」は、ゲイツを巡る憶測を完全な誤りだと断じている。
動画の中でゲイツは「ソーシャルメディア上では、あなたとコロナウイルスを巡る嘘が出回っている。これは現在拡散されている中で最も広範なデマと考えられている。ここでハッキリさせたいのだが、あなたがワクチンを望んでいるのは、人々にマイクロチップをインプラントするためなのか?」と問われ、これを強く否定。根拠のない噂を退けた。
キング・バッハはこの動画に「僕は最初に嘘をついた時のことを覚えている😂」とのコメントを付けることで嘘の烙印を押し、ハミルトンはこれをInstagramで共有した。
ソーシャルメディア上で厳しい批判に晒されたハミルトンは投稿から13時間後にこれを削除し、Instagramのフォロワーに次のように釈明した。
「コロナウイルスのワクチンに関する僕の投稿に付いたコメントを見た。僕は彼らが誤解に至った可能性のある理由について理解した。その件についての僕の考えを明確にしたいと思う」
「まずはじめに、僕は例のコメントに気づいていなかった。これは完全に僕の責任だ。僕はビル・ゲイツの慈善活動に大きな敬意を払っている」
「僕はワクチンに反対しているわけではないし、ワクチンがコロナウイルスとの闘いにおいて重要であることは疑いないという事も明確にしたい。僕は命を救うワクチン開発に期待している」
「でもビデオを見たあと僕は、一番の重大事であるワクチンの副作用及び、どういう形で資金調達がなされるのかという事について、まだ多くの疑念があるのだと感じた」
「僕の投稿が常に正しいとは限らないかもしれない。僕はただの人間に過ぎず、学び続けている。みんなに前向きな気持ちを伝えたい」
陰謀論とワクチン懐疑論は太平洋を渡り、ハミルトンの母国イギリスにも蔓延している。ボリス・ジョンソン英首相は先週、「気が狂った馬鹿野郎」との強い表現で反ワクチン派を罵倒した。
ゲイツはかねてより力を注いでいた社会貢献活動に注力すべく、既にマイクロソフトを完全に退いている。今年6月には、予防接種を通して世界中の子供たちの命を救うために、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通してワクチンと予防接種のための世界同盟として知られる「Gaviワクチンアライアンス」に対し、5年間で16億ドルの拠出を行うことを発表している。