誤解? ハミルトン、人種差別に関する無神経発言があったとしてヘルムート・マルコを糾弾するも撤回
6度のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は6月17日(水)、人種差別に関する無神経な発言があったとして、ソーシャルメディア(SNS)を通してレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコを厳しい言葉で批判したが、直後に投稿を削除した。誤解と見られる。
F1グリッドの中で唯一の黒人であるハミルトンは、米国ミネソタ州で発生したジョージ・フロイド殺害事件を巡り、SNSを通して反人種差別に関する啓蒙キャンペーンを先導してきた。
F1ドライバーの中で先陣を切って事件への批判を表明したのもハミルトンであった。アフリカ系イギリス人を父に持つ35歳のF1ドライバーは、本件に一切反応しないF1業界全体を非難。これをきっかけにダニエル・リカルドやシャルル・ルクレールなどのドライバーの他、チームや関係者が続々と#BlackLivesMatter運動への賛同の声を上げるに至った。
ハミルトンは水曜にTwitterとInstagramアカウントを通して次のメッセージを発した。
「ヘルムート、黒人や有色人種の平等を求める闘い(への関与)は注意散漫だとするあなたの考えに僕は深く悲しんでいる。実際、酷く気分を害された」
「僕の家族を愚弄するためにレース週末に顔を黒くペイントしてやってくるファン達。子供の頃、10代の頃、そして今でさえ、肌の色のせいで本来であれば直面する必要がなかった逆境や不公平な扱い。僕はそういったものに煩わされてきた」
「あなたのチームにいる数少ない有色人種の人々が、あなたが彼らをどの様に見ているのか、そしてあなたが何をプライオリティとしているのかについて、このメッセージを通して知ってくれる事を願う」
「目を覚まして。このスポーツは変わる必要があるんだ。@redbullracing #BlackLivesMatter」
ハミルトンのInstagramアカウントに投稿されたメッセージ
投稿を削除したのみでハミルトンからの説明がないため、具体的にどのような情報を元にレッドブルの双頭の1人を名指しで糾弾したのかは分からないが、ヘルムート・マルコがドイツRTLテレビジョンに対して発言したとされるデマツイートが原因で誤解が広がった可能性が伝えられている。
motorsport-magazinが伝えたところによると、ヘルムート・マルコは念の為に、問題があったとされる2週間前のインタビュー映像をRTL側にチェックするよう要請。結果として「マックス・フェルスタッペンはタイトル獲得に集中して準備に取り組んでいる一方で、一部のドライバーは他の事に気を取られている」といった旨の発言は確認されず、ヘルムート・マルコは「完全なフェイクニュースだ」と断じたという。
一部が暴徒化するなど、米国における本件を巡るデモ活動および警察への批判は収まる気配を見せておらず、人種差別の撲滅を訴える運動はヨーロッパや日本にも広がっている。