FIA、ランス・ストロールを調査…F1カタールGPでの複数違反の可能性を巡り
国際自動車連盟(FIA)はF1第18戦カタールGPから2日を経た10日(火)、「ルールに違反した可能性のある幾つかインシデント」についてランス・ストロールを調査している事を明らかにした。
具体的なインシデントには言及していないが、「FIAの規則、方針、手順」への違反が疑われる事態があったとして、FIAのコンプライアンス・オフィサーがストロールから事情を聞いているという。
今季10回目のQ1敗退を喫したF1カタールGP予選を経てストロールは、ステアリングを投げつけクルマを降りると、ガレージ裏に去る際にトレーナーを突き飛ばすかのような行動を取り、その後のインタビューでも放送禁止用語を交えて不遜な態度を続けた。
突き飛ばされたと見られる人物は、プレシーズン中の自転車事故により手首を骨折した際、復帰に向けて支え続けたオステオパシー兼パフォーマンスコーチのヘンリー・ハウだった。
国際放送のカメラが捉えていたため、ガレージでの出来事は世界中のファンに知れ渡る事となり、ソーシャルメディアでは批判の声が飛び交った。
英「Sky Sports」のアナリスト、ナオミ・シフは「全く以て不適切です。あのような振る舞いは許されません」と批判し、2016年のF1王者ニコ・ロズベルグは、不振続きの境遇によるフラストレーションには理解できる部分はあるとしつつも「本当に悪い振る舞い」だと述べ、「それにボスの息子という立場だからチーム内でもプレッシャーがあるだろうし、彼の立場にはなりたくないね」と付け加えた。
チームメイトのフェルナンド・アロンソが今季の全予選でトップ10に食い込んでいる一方、チームオーナーの息子であるストロールは10回に渡ってQ3を逃している。アロンソの平均予選順位は6.1位だが、ストロールは12.1位に留まる。チームの得点の8割はアロンソの手によるものだ。
暴力沙汰の事件としては5年前のブラジルGPが記憶に新しい。
2018年のインテルラゴスでは、レース後の計量ガレージでマックス・フェルスタッペンとエステバン・オコンが小突き合いの非難合戦を展開した。フェルスタッペンが左手でオコンを押しのけると、これ対してオコンが詰め寄り、その後フェルスタッペンはオコンを強く突き飛ばした。
スチュワードは「競技会の利益、またはモータースポーツ全般に不利益とみなされる行為を禁止する」と定めた国際競技規則第12条1項1.c(当時)への違反の可能性があるとして2人を召喚。フェルスタッペンに社会奉仕活動への従事を命じる決定を下した。
カタールでの一件の後、ハウについてストロールは「仲の良い友人だ。(今も)良い関係にある。彼とはフラストレーションを共有し、一緒に戦っている。ソーシャルメディアは見ていない」と語った。