FIA会長ジャン・トッド
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FIA国際自連、フォーミュラ1とWECのエンジン規格統一案を検討

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FIA国際自動車連盟がフォーミュラ1(F1)と世界耐久選手権レース(WEC)のエンジン規格の統一を検討していることが明らかとなった。FIAはモータースポーツレースの世界選手権を監督・運営する組織。同連のジャン・トッド会長が、アブダビで明らかにした。

トッドは、同規格化は合理的な選択肢であり新規参入メーカーを求めるF1とWECに利益をもたらすとコメント。実現すればマクラーレン等の名門F1チームがWECのLMP1クラスに参入することも容易となる。今回提示された案の背景として、トッドは以下の4点を挙げた。

  • 各カテゴリが必ずしも独自エンジン規約を採用する必要はない
  • WECとF1エンジンは近いテクノロジーを採用
  • 新規メーカーの参戦促進
  • 相互交流によるシナジー効果

F1とWECのLMP1クラスは共にエネルギー回生技術が組み込まれたハイブリッドエンジンを搭載。17年のWECトヨタTS050 HYBRIDは、2基のモーターによるハイブリッド・システムが組み込まれた2.4リッターV6ツインターボ過給エンジン、一方のF1はMGU-HとMGU-Kの2つのハイブリッド・システムが組み込まれた1.6リッターV6シングルターボ過給エンジンを採用している。

現行のF1レギュレーションが適用されるのは2020年までとなっており、21年以降に向けて現在新しい規約の検討が続いている。先月末提示された規約案では、音質改善と低コスト化を目指したビジョンが示された。内燃機関(ICE)はそのまま継続するも、MGU-Hを廃したシンプルなエンジンの採用が議論されている。

だが、フェラーリ、メルセデス、ルノーの既存エンジンサプライヤー3社はこれに反対の立場を表明、中でもフェラーリは、方向性が変更されない限りF1撤退も辞さないと強硬な姿勢を見せている。

新時代のレギュレーション策定に困難が乗じる中、一方のWEC LMP1クラスはワークスチームのアウディとポルシェが相次いで撤退。残るトヨタの参戦継続も不透明な状況となっており、同クラスの存続が危ぶまれている。