FIA、物議を醸した元メルセデス顧問ラオの暫定事務総長退任を発表…在任6ヶ月
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は11月23日(水)、モータースポーツ担当暫定事務局長を務めていたシャイラ・アン・ラオの退任を発表した。ピーター・バイヤーの退任に伴う今年6月の就任から数えて6ヶ月後の事だった。
FIAの法務部長を務めた経験を持つシャイラ・アン・ラオは2018年12月メルセデスAMG-F1チームに加わり、2021年1月~2022年6月まではメルセデスF1のチーム代表兼CEOのトト・ウォルフの特別顧問を務めていた。
こうした経緯から、フェラーリやレッドブルを含むライバルチームはしばしば、公正な職務遂行について懸念を表明し、疑惑の目を向けてきた。
第9戦カナダGPに向け、フロアに2本目のステー追加を許可するFIAの技術指令が土壇場で発行された際、対処できたのはメルセデスだけだった。ライバルチームはその仕事の早さを称賛する代わりに不信の念を抱いた。
ウィリアムズのヨースト・カピート代表は「当然、驚いた」と述べ、マッティア・ビノット代表はシャイラ・アン・ラオに触れて「確かに、懸念材料ではある」と認め、アルピーヌのオトマー・サフナウアー代表は「事前に知っていたに違いない。そうでなければ不可能だ」と語った。
またレッドブルに関しては、予算超過騒動の際に機密情報がライバルチームに漏れた事を受け、シャイラ・アン・ラオに疑惑の矛先を向けていたと伝えられている。
モハメド・ベン・スレイエム会長はシャイラ・アン・ラオの退任発表に際して「計り知れない貢献に感謝したい」とすると共に、こうした状況があった事を念頭に置いてか、以下のように続けた。
「特にF1に関してシャイラ・アンは、常にプロ意識と誠実さをもって行動し、私を大いにサポートしてくれた」
退任の理由についてFIAは、シャイラ・アン・ラオの就任はそもそも、ジャン・トッドの任期満了を経て昨年12月に発足したモハメド・ベン・スレイエム新体制への移行をサポートするためだったとして、次のように説明した。
「シャイラ・アンはFIA会長と組織にサポートと支援を提供し、この移行期間を上手くやりくりした。この期間は終わりを迎えようとしている。そのためシャイラ・アンはF1シーズン終了後、FIAを離れる事になった」
暫定的な職務に就く者の退任発表は通常、正式な後任が決定した際に行われるが、FIAはシャイラ・アン・ラオに代わる事務局長を明らかにしておらず、退任のみが発表された。