FIAのWomen in Motorsportとフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のロゴ

1976年以来初の女性F1ドライバー誕生なるか? フェラーリとFIA、若手育成で提携

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F1世界選手権に参戦するスクーデリア・フェラーリは6月11日(木)、国際自動車連盟(FIA)が若手女性ドライバーの発掘・育成を目的として立ち上げた新たなプロジェクト「Girls on Track – Rising Stars」との提携を発表した。

契約期間は2020年~2023年末までの4年間。FIAの内部組織「Women in Motorsport」が設立した本プロジェクトは、「FIA イノベーション・ファンド」からの財政支援を受け、モータースポーツの頂点を目指す12歳から15歳までの若手女性レーシングドライバーを支援し、キャリアパスの開発に取り組む。

既に世界5大陸20人のドライバーが候補に挙げられており、片山右京やジャン・アレジらを輩出したポール・リカール・サーキットの育成組織「ウィンフィールド・レーシング・スクール」が主催する10月のシュートアウトへの招待が予定されている。

候補者リストはその後、カートやF4でのテストを経て4名にまで絞り込まれる。最終審査は今年11月に1週間に渡って開催される予定のFDAのプログラムを通して行われる。

最優秀と認められたドライバーには、マラネロの若手育成プログラム「フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)」への門戸が開かれる可能性があるだけでなく、FDA支援の下でFIAフォーミュラ4選手権への参戦権が与えられる可能性がある。2009年末に設立されたFDAは延べ19名の若手が在籍し、シャルル・ルクレールを始めとする数名がF1デビューを果たしている。

来年も同様のプロセスで選考会が行われる。FDAは今後4年間で最大2名を起用する用意があるとしている。

フェラーリのマッティア・ビノット代表は提携の理由について「FDAは単に優秀なドライバーを選抜するだけでなく、文化的、技術的、倫理的な教育にも力を入れてきたが、モータースポーツにおける若手女性ドライバーの活躍の場を広げるため、更なる努力が必要だと感じていた。女性の参入を妨げるものは何もないが、この分野で活躍する事の難しさは認識している」と説明し、「1976年以来初めて女性がF1世界選手権のレースに出場する日が来るかもしれない」との期待を口にした。

女性ドライバーがF1の決勝レースに出場したのは、1976年のレラ・ロンバルディが最後。女性初の入賞記録を持つイタリア出身のロンバルディは、1974年から76年にかけてブラバム、マーチ、ウィリアムズを渡り歩いた。

フェラーリだけでなく、F1公式タイヤサプライヤーを務めるピレリも同プロジェクトをサポートする。F1部門の責任者であるマリオ・イゾラは「ピレリは長年に渡って若手ドライバーを支援してきた伝統を持つだけに、この取り組みをサポートできる事を嬉しく思う。このプロジェクトはモータースポーツの歴史に重要な1ページを刻む可能性を秘めている」と述べた。