アメリカ合衆国の100ドル札、2011年6月10日
creativeCommons Ervins Strauhmanis

アンドレッティ震撼必至…F1チーム、”参入障壁税”の3倍増 800億円超を画策か

  • Published: Updated:

現行グリッドに着く10チームは、アンドレッティ・キャデラックを含む新規参戦候補の計画を根本から揺るがしかねない莫大な金額の”参入障壁税”を設けようと画策しているようだ。

英「Autosport」によると既存チームは、新規チームに対して課せられる2億ドル(約273億円)の支払い金額を”最低”でも3倍の6億ドル(約819億円)に増やすよう執拗に求めているという。これについて同メディアは「実現に近づいている」と伝えた。

マリオ・アンドレッティとマイケル・アンドレッティ、インディアナポリスに建設される新社屋の起工式にて、2022年12月6日copyright FollowAndretti@Twitter

マリオ・アンドレッティとマイケル・アンドレッティ、インディアナポリスに建設される新社屋の起工式にて、2022年12月6日

この6億ドルという数字は、現在進行中のアウディによるザウバー株の取得金額が根拠になっているようだ。ドイツの自動車メーカーは2026年以降のF1参戦に向けて今年1月、まずはザウバー・グループの少数株式を取得した。

F1人気の世界的な高まり、チーム運営費の低減に繋がる予算上限ルールの導入、そして希薄化防止料の導入などを背景に、F1チームの価値は現在、過去最高水準に達している。

2021年~2025年を対象としたコンコルド協定、つまり商業面に関するF1とチームとの間の取り決めには、新規チームに対して2億ドルの希薄化防止料を義務付ける規定があり、この支払は既存チームが等分して自らの懐に入れる仕組みとなっている。

これは既存のチームの価値の保護ならびに、新たなチームが参戦した際に減少し得る分配金の補填という目的がある。

3倍増が実現した場合、例えば身売りの可能性が報じられているアルファタウリの売却金額は必然的に、最低でも6億ドルとなる。

現行のコンコルド協定は3年後に刷新されるため、希薄化防止料は自ずと2026年以降に大幅に引き上げられる事が予想される。実際、アンドレッティが2025年の参戦を目指しているのはこれが背景にあるものと考えられている。

だがマクラーレンのザク・ブラウンCEOは以前、金額に関してはチーム側と商業権を持つリバティメディアとの合意によって調整できる事を仄めかしており、国際自動車連盟(FIA)による新規参戦チームの審査が進行する中、既存チームは改定された希薄化防止料を2025年に導入したいと考えているようだ。

当然のことながら、アンドレッティのF1参戦計画は希薄化防止料=2億ドルを前提としたものであるため、如何に総額2,850億ドル超、約40兆円を運用する資産運用会社、グッゲンハイム・パートナーズがバックにいるとは言え、仮に”増税”ともなれば計画の再考は必至だ。

ただ、あまりに法外な金額だと見なされれば、欧州連合競争法などの関連法に抵触する可能性もある。