シリーシーズン開幕…角田擁するアルファタウリの意外な候補、ピアストリのデビュー先はアルピーヌに非ず? 裏で糸を引くのは…
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前半戦の終了を告げるハンガリーGPが閉幕し、F1ドライバーズマーケットに関する幾多数多の憶測が飛び交う”愚かな季節”=シリーシーズンが幕を開けた。ミック・シューマッハのアルファタウリ移籍の話も飛び出した。
コングを鳴らしたのはセバスチャン・ベッテルだった。現役続投の意思を表明した1週間後、衝撃の引退発表を行った。雪崩を打ったようにフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がベッテルの後任として複数年でのアストンマーチン移籍を発表した。
これによりドライバーズマーケットは一変し、降って湧いたように幾つもの新たな噂がパドックで囁かれるようになった。元F1ドライバーでインディ500ウィナーのマーカス・エリクソンの以下のツイートがそれを物語る。
After Alonso’s “middle finger to Alpine switch” this is how the rest of @F1 silly season will play out:
Alpine Ocon-Gasly
AlphaT Schumacher-Tsunoda
Mclaren Norris-Piastri
AlfaR Bottas-Zhou
Haas Mag-Ricciardo
Williams Albon-De VriesIt’s called Silly season for a reason 😜
— Marcus Ericsson (@Ericsson_Marcus) August 1, 2022
角田裕毅の代わりにシューマッハ?
多くの日本のF1ファンが最も気になるのは、シューマッハがアルファタウリに移籍するという少し現実離れしたように思われる憶測だろう。
エリクソンはピエール・ガスリーがアロンソの後任としてアルピーヌに移り、その空いた席にシューマッハが座ると綴っているが、ある情報筋は角田裕毅の代わりとしてアルファタウリに移籍する可能性があるとも伝えている。
この憶測の背景にあるのはポルシェだ。ドイツの高性能スポーツカーメーカーが次世代F1パワーユニットが導入される2026年に向けてレッドブルと提携するとなれば、伝説的な名を持つドイツ人ドライバーを欲しがっても不思議はなく、全くの荒唐無稽とも言えない。
また、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはジュニア時代から動向を注視しており、シューマッハに好意的だ。
ただ逆を言えば、この状況は2025年までの間、現行のパワーユニットサプライヤーにして角田裕毅の支援者でもあるホンダが、レッドブルに対して強力なカードを持ち得るという事でもある。
ホンダの機嫌を損ねればレッドブルはエンジンを失いかねない。ホンダの支援に依存するレッドブルにとってポルシェとの提携は、これまで以上にホンダとの関係を重視しなければならないという事を意味する。
次に注目すべきはアルピーヌの至宝、オスカー・ピアストリのマクラーレン入りだが、その前にアロンソ電撃移籍の舞台裏を振り返ってみたい。
アロンソ、予選の夜に契約か
ベッテルがアストンマーチンに引退の意向を明らかにしたのは発表前日の7月28日だった。ベッテルと親しいジャーナリスト達にとってでさえ青天の霹靂だったという。
様々な後任候補が取り沙汰される中、その4日後という極めて早い時期にアロンソの移籍が発表されたのは誰にとっても驚きだった事だろう。
ハンガリーGPの予選が行われた30日(土)の夜、チームオーナーのローレンス・ストロールがアストンマーチンのモーターホームでアロンソと面会していた伝えられている。恐らく、この時に契約がまとめられたのだろう。
アロンソが2年を求めた一方、アルピーヌはピアストリが控えていた事から1年を提示したと考えられている。両者の間には溝があった。
アロンソ陣営とアストンマーチンの話し合いはベッテルの去就発表よりも前から行われていた事が推測される。ここ数年は常に引退の噂があった。
マクラーレンを狙うピアストリ
いずれにせよ、これによってアルピーヌのシートが1つ空くことになった。
アルピーヌは当初、2023年にウィリアムズでピアストリをデビューさせ、その翌年にアロンソとの契約を終わらせチームに連れ戻す事を目論んでいたようだが、アロンソが去る事が決まった今、ピアストリの来季を巡って他チームのシートを頼る必要はなくなった。
ピアストリの来季アルピーヌでのF1デビューは確定的かと思われるが、事態はそう単純でもないようで、マネージャーを務めるマーク・ウェバーがダニエル・リカルドの後任としてピアストリをマクラーレンに押し込もうとしているとのホットな噂がある。
伝えているのはオトマー・サフナウアーのアルピーヌ移籍の可能性をいち早く報じたアルピーヌの母国、フランスのAutoHebdoだ。
F1浪人生活を過ごすピアストリの活躍の場を増やすという意味で、アルピーヌは今年初め、マクラーレンとの間でピアストリをリザーブとして貸し出す事に合意した。
その意味で両チームの間には一定の理解があるが、どうやらチーム主導の動きではなく、ピアストリ側が独自に確保に動いているようだ。
勿論、リカルドとマクラーレンとの間には来季の契約がある。またマクラーレンは将来的なF1参戦を視野にコルトン・ハータやアレックス・パロウ、パトリシオ・オワードといった若手有望インディカードライバーを旧車テストプログラムに起用しており、可能性は低いように思われるが。。
ブリアトーレ、裏で糸を引く?
これらの一連の動きについて、舞台裏で糸を引いている人物がいるとも噂されている。それはフラビオ・ブリアトーレだ。
アロンソのマネージャーであり、ウェバーの元マネージャーでもある72歳のイタリア人は今年、クラッシュゲート事件から13年を経てF1パドックに戻ってきた。
ブリアトーレはアストンマーチン会長ローレンス・ストロールと古くからの間柄であり、英国エンストンのチームの舞台裏を詳しく知っていたとしても不思議はなく、アルピーヌ(旧ルノー)は言わずもがな、自らがかつて率いていたチームで、前述のようにウェバーとの関係もある。
国際映像でもしばしば見られるように、ブリアトーレはF1アンバサダーとして大手を振ってパドックを練り歩いている。フランスGPでは度々、チームのモーターホームに出入りする姿が確認されている。
もしもピアストリを失えば、アルピーヌはチームの外に目を向けなければならなくなる。そこでアルピーヌの候補に名前が挙がっているのがガスリーというわけで、更にはダニエル・リカルドがここに加わるというわけだ。
ベッテルの引退によって、F1ドライバーズマーケットはなんでもアリの総合格闘技状態となった。
殆どの噂は根拠のないただの憶測に基づくものだが、「契約がある」と言ってその年の終わりにF1を去ったドライバーの数は知れず、F1では何が起きても不思議はない。