レッドブルの対抗馬は低調フェラーリ、それともアストン? 中団争いの有望株は… / F1サウジアラビア初日解剖
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F1第2戦サウジアラビアGPがいよいよ幕を開け、3月17日(金)に2回のフリー走行が行われた。最速を連取し、開幕戦に続き支配的な速さを見せているレッドブルに対抗できるチームはあるのか?
レッドブルはバーレーンGPでフロントロウ独占からの圧倒的1-2フィニッシュを飾り、2023年シーズンを華々しくスタートさせたが、ジェッダ市街地コースでの第2戦でもマックス・フェルスタッペンがトップタイムを連発。ロングランペースでもライバルを退けた。
接戦を主張するレッドブル
フェルスタッペンは先日まで胃腸不良で苦しんでいた事を微塵も感じさせない走りを披露した。クラッシュにより2021年の予選でポールを失った最終コーナーの壁に急接近した際も、アクセルを緩めることなくラップを突き進んでいった。
コンディションの違いに依らず誰より速いラップを刻みながらもフェルスタッペンは、ジェッダのデグラデーションの低さに触れて「バーレーンのようにはいかない、絶対にね」と述べ、僅差での上位争いは避けられないと強調した。
3番手に留まったセルジオ・ペレスも、2日目に向けて解決すべきメカニカルトラブルがあった事を明かし「今日は少し一貫性がなかった」として、この日の結果から読み取れるものは限定的だと訴えた。
それでも1ラップ、ロングラン共に少なくとも初日の時点においてはレッドブルが堂々のトップであった事は誰の目にも明らかだった。
レースペースも有望な2番手アロンソ
対抗馬としてまず注目すべきは、初戦バーレーンGPでレッドブルと並び、唯一表彰台に上がったアストンマーチン、特に3度目のタイトル獲得に並々ならぬ意欲を示しているフェルナンド・アロンソだ。
フェルスタッペンにコンマ2秒差の2番手でFP2を終えたアロンソは、AMR23への学びを深めたという点で「力強い1日になった」と語り、データ分析を通して2日目に向けて更に競争力を引き上げていきたいと意気込んだ。
とは言え、フェルスタッペンのファステストラップは最終セクターがミディアムタイヤでのランより遅く、真のペースを表していない事は明らかだった。
全セクターをベストで繋げていればアロンソとのギャップはコンマ5・6秒にまで広がっていたものと思われる。アロンソを含めた非レッドブル勢にとって、最前列への挑戦のハードルはかなり高いと言える。
バーレーンで明らかとなったように、AMR23はレースペースの方が印象的だ。FP2のシミュレーションでアロンソは、同じミディアムを履くペレスに1周あたりコンマ1秒ほどにまで迫った。
ただ、ソフトを担当したランス・ストロールは同じタイヤのフェルスタッペンに対して1周あたりコンマ5秒近くもの遅れを取った。
本命は低調フェラーリか
フェラーリはシャルル・ルクレールが9番手、カルロス・サインツが10番手と、タイムシートの目立たない位置で初日を終えた。ジェッダ市街地コースの特異性に触れてサインツは、マシンバランスが不十分であるとして「厳しい1日になった」と語った。
表面的なタイムシートとは裏腹に、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはダークホースとしてフェラーリの名前を挙げた。その根拠はエンジン出力だ。独Skyとのインタビューの中でマルコは「フェラーリはエンジンに少し余裕がある」と指摘した。
実際ルクレールは「ロッカーの中にかなりのものを持っている」と述べ、縁石に乗った際にシフトアップしてしまう症状に見舞われたため「エンジンが最良の常態になかった」と認めており、2日目のタイムシートは今より「接近するはずだ」としている。
とは言え、ルクレールは3基目のCE(コントロール・エレクトロニクス)によるグリッド降格が確定しており、フレデリック・バスール曰く予防措置ではあるもののサインツも2基目のICE(内燃エンジン)に載せ替えており、信頼性に関する懸念は拭いきれない。
メルセデス、Q1敗退の悪夢再来?
FP1こそマシンの状態は悪くないように見受けられたが、コンディションが大きく異る日没後のFP2では昨年の悪夢が蘇るような光景が広がった。
ジョージ・ラッセルこそ5番手を刻んだものの、パフォーマンスコーチを務めてきたアンジェラ・カレンとの7年に渡る関係解消を公表したルイス・ハミルトンは11番手に沈んだ。
セッション後のインタビューに応えるハミルトンのトーンは一貫して低く、クルマは「ドライブしにくい」として「両セッションで苦戦したのは確かだ」と述べ、予選Q1敗退を喫した昨年大会と比べてクルマは「殆ど変わっていない」と漏らした。
中団の主役はアルピーヌとハース
激戦のミッドフィールドで誰よりも目立っていたのは、悪夢のような開幕戦を過ごしたアルピーヌだった。
三度のペナルティ祭りを経て初戦をリタイヤで終えたエステバン・オコンと、予選最後尾スタートとなったピエール・ガスリーは共に躍動。タイムシートのトップに立ったフェルスタッペンからコンマ4秒落ちの4番手と6番手につけた。
オコンは「クルマの感触は力強い」とした上で、予選や決勝で「役立つような様々な項目をテストできた」と語った。またガスリーは週末に向けて「更に進化」できるはずだと前向きだ。
なおヘルムート・マルコは、フェルナンド・アロンソとフェラーリとの間で「エキサイティングなバトルを繰り広げるだろう」と述べ、アルピーヌがメルセデスに代わって表彰台の最後の一枠を争う可能性に言及している。
VF-23に対する不満を口にしていたハースの僚友ケビン・マグヌッセンは15番手に留まったが、ニコ・ヒュルケンベルグは見事なフライングラップでトップ10に食い込み、初戦に続いてブランクを感じさせない走りを披露した。
フェルスタッペンから0.578秒差の8番手でクルマを降りたヒュルケンベルグは、ロングランペースに関しては「少し厳しいかも」とする一方、1ラップペースでは「競争力があると思う」と語った。
確かに予選シミュレーションではメルセデスに次ぐトップ5の速さを示していたが、ロングランペースはアルファタウリやハース、マクラーレンよりも悪く、アルファロメオと最下位を争うような状況だった。