
F1をNetflixで観る時代が来る?激化する2026年放映権争奪戦
Netflixが2026年以降の米国におけるF1放映権獲得を視野に入れ、交渉に乗り出す可能性が浮上した。現在、同国でのF1放映権はESPNが保持しているが、独占交渉期間が終了したことで、他の放送局やストリーミングサービスも参入の機会を得ることとなった。
タイムズ紙の報道によると、有力候補の1つはNetflixだという。同社はこれまでF1の放映権を獲得した実績はないが、F1人気の拡大に大きく貢献してきた。ドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』は、特に若年層や女性層のF1ファンを増やす要因となり、米国内のF1市場拡大を後押ししている。
『Drive to Survive』の最新シーズン7は2025年シーズンの開幕戦に合わせて配信される予定だが、それ以降の契約はまだ締結されていない。ただし、同シリーズの人気の高さを考慮すると、契約延長の可能性は高いと見られる。
Courtesy Of Daniel Vojtech
F1マシンを撮影するNetflixのカメラマン、Formula 1: 栄光のグランプリ – プロダクションスチール
F1は米国市場での存在感を強めている。現在、マイアミ、オースティン、ラスベガスの3都市でグランプリが開催されており、米国を本拠とするハースF1チームが参戦している。さらに、2026年にはゼネラル・モーターズ(GM)傘下のキャデラックが新チームとして参入予定であり、レギュラードライバーの少なくとも1名がアメリカ人となる見通しだ。
Netflixは近年、ライブスポーツコンテンツへの進出を加速させている。
2023年11月にはジェイク・ポールとマイク・タイソンのボクシング試合を独占配信し、全世界で推定1億800万人という驚異的なストリーミング視聴数を記録した。
また、2023年のクリスマスにはNFLの試合2試合を配信し、2024年からは10年間で50億ドル規模の契約を結びWWEの放送を開始。さらに、2027年と2031年のFIFA女子ワールドカップの米国向け放映権を獲得するなど、スポーツ配信分野での影響力を拡大している。
Netflixは過去にもF1の米国放映権獲得に関心を示しており、2021年の契約更新時にはAmazonとともに交渉に参加したが、最終的にESPNが契約を勝ち取った。しかし、F1人気の高まりとNetflixのスポーツ配信戦略の進化により、今回はより本格的な入札が行われる可能性が高い。
現在、ESPNは年間9000万ドル(約137億円)でF1の米国放映権を保持していると見られているが、新たな契約ではより高額な入札が予想される。Netflixに加え、AmazonやAppleなどのストリーミング企業もF1放映権の獲得を検討しているとされる。
F1人気の拡大を牽引してきた『Drive to Survive』の成功や、Netflixのスポーツ配信事業の成長を考慮すると、今回の入札は大きな注目を集めることになるだろう。
今後の焦点は、ESPNが引き続き放映権を保持するのか、それともNetflixや他のストリーミングサービスが新たな放送の担い手となるのかにある。F1の米国市場での成長とともに、放映権を巡る争奪戦の行方に注目が集まる。
F1の運営会社であるフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は、グローバルな一括契約ではなく、地域ごとに放映権を販売する方針を貫いている。これは、最大限の収益を確保しつつ、各市場で最適な放送環境を提供するための措置だ。
なお、日本ではフジテレビとDAZNの2社がF1の放映権を保持しているが、いずれの契約も2025年末までとなっており、2026年以降は未定となっている。