F1のステファノ・ドメニカリCEOとアルファロメオのフレデリック・バスール代表、2022年5月6日F1マイアミGPにて
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

F1、人権懸念でグランプリ中止の可能性…ドメニカリCEO認める

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人権問題が指摘されている国々でのレースの開催について批判が絶えない中、F1のステファノ・ドメニカリCEOは、改善が見られない場合、グランプリの開催を取りやめる用意があると主張した。

アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体がスポーツウォッシングを危惧する声を上げながらも、F1は2021年にサウジアラビアで初のグランプリを開催した。同国は毎年数多くの死刑執行が行われる死刑大国で、昨年も100名以上の死刑が執行された。

FIFAワールドカップ開催国となったカタールも同様に、搾取や暴力・性的虐待など、基本的人権の侵害が問題視されており、バーレーンでも自由の権利を行使して投獄される例が後を絶たないとされる。

基本的人権が脅かされるような状況についてドメニカリはSky Sportsとのインタビューの中で「本当に気にかけている」と述べ、人道的な理由でグランプリレースを中止する用意があると主張した。

「我々は契約書においても、正しい方向に進んでいないと判断した場合、直ちに関係を中止するという明確な条項を定めており、これに従い独立監査人を置いている」

その一方でドメニカリは「F1のスポットライトは、変化の速度をより速くするために役立つと信じている」とも語り、グランプリの開催によって問題解決に向けた変化を促す事も可能だとの考えを示した。

人権という点では、F1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)が2023年に向けて制定した”検閲ルール”にも同様の懸念が向けられており、既にドライバー達から批判の声が寄せられている。

FIAは昨年末、国際スポーツ競技規則(ISC)を改定し、ドライバーやチームが事前の許可なく「中立性の一般原則に著しく反する政治的、宗教的、および個人的な声明や意見」を表明する事を禁止した。

これについてドメニカリは、ドライバーたちの発言の自由を支持する一方で「常にバランスをとる必要がある」とも述べ、政治的な発言には注意を払う必要があるとの認識を示した。