F1カナダ決勝:タイヤ戦略考と気掛かりな天気、ペナ反映後のスターティング・グリッド
日本時間6月9日(日)27時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第9戦カナダGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および、予想されるスタートタイヤ戦略、天気を見ていこう。
変動したスターティンググリッド
レッドブルの主張は見当違いであるとして退けられたものの、予選中のピットレーンでのインシデントに関して不問の決定が下された事で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2番グリッドを維持した。
ただ、前戦モナコGPでの僚友ピエール・ガスリーに対する衝突の一件で、予選18番手のエステバン・オコン(アルピーヌ)が5グリッド降格ペナルティを受けたことで、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と周冠宇(ザウバー)のポジションが各々、一つずつ繰り上がった。
しかしながらザウバーの2台がリアウィングを変更。パルクフェルメ規定違反に伴いピットレーンからスタートするため、オコンは変わらず18番グリッドに着く事となった。
ポールポジションに着くのは、2022年のブラジルGP以来、キャリア2度目の勝利を目指すジョージ・ラッセル(メルセデス)。2番グリッドにはフェルスタッペンが並ぶ。
角田裕毅(RBフォーミュラ1)はポイント圏内4列目8番グリッドに着く。隣の7番グリッドに並ぶのはイモラ、モナコと同じくルイス・ハミルトン(メルセデス)だ。
Pos | Driver | Team | Qualifying |
---|---|---|---|
1 | G.ラッセル | メルセデス | 1(-) |
2 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 2(-) |
3 | L.ノリス | マクラーレン | 3(-) |
4 | O.ピアストリ | マクラーレン | 4(-) |
5 | D.リカルド | RB ホンダRBPT | 5(-) |
6 | F.アロンソ | アストンマーチン | 6(-) |
7 | L.ハミルトン | メルセデス | 7(-) |
8 | 角田裕毅 | RB ホンダRBPT | 8(-) |
9 | L.ストロール | アストンマーチン | 9(-) |
10 | A.アルボン | ウィリアムズ | 10(-) |
11 | C.ルクレール | フェラーリ | 11(-) |
12 | C.サインツ | フェラーリ | 12(-) |
13 | L.サージャント | ウィリアムズ | 13(-) |
14 | K.マグヌッセン | ハース | 14(-) |
15 | P.ガスリー | アルピーヌ | 15(-) |
16 | S.ペレス | レッドブル | 16(-) |
17 | N.ヒュルケンベルグ | ハース | 19(+2) |
18 | E.オコン | アルピーヌ | 18(-) |
19 | V.ボッタス | ザウバー | 17(-2) |
20 | 周冠宇 | ザウバー | 20(-) |
レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
想定されるスタートタイヤ戦略
ピレリのシミュレーションによると、ドライコンディションの場合の最速タイヤ・ストラテジーは2ストッパーだ。
ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「ドライレースの場合、最も効果的な戦略は2ストップとなり、2セットのハードタイヤを使う戦略が主流となる可能性が高い」と語った。
ハードを1セットしか温存していないRBやアストンマーチン、ハース、ザウバー勢にはどのような選択肢があるのだろうか?
「ミディアムとハードを組み合わせた1ストップ戦略も理論上は可能だが、かなり厳しいものになるだろう。この戦略を念頭に置いてレースを開始しつつ、2ストップに切り替える柔軟性を持つのもひとつだろう」とイゾラは付け加えた。
プラクティスや予選ではハードを除くコンパウンドにグレイニングが発生していた。この事からも、路面が改善しない限りはハードを2セット使う2ストッパーが安全策と言えそうだ。
なおジル・ビルヌーブ・サーキットはピットレーンの長さがカレンダーの中で長い部類に入るものの、ピットストップによるロスタイムは少ない。それはコースレイアウト的な理由によるもので、レーンを通過すると最終シケインとターン1を通過する必要がないためだ。
いずれにせよミディアムをスタートタイヤに選ぶチームが多数と考えられ、最初のピットストップ・ウインドウは16周前後にオープンになるものと推測される。ただ以下のように、Q1ノックアウトのセルジオ・ペレス(レッドブル)は昨年同様、ハード、ミディアムと繋ぐ1ストッパーを狙うかもしれない。
気になる天気は…
現地モントリオールは日曜も大気が不安定となる見通しで、晴れ間が差す中で時折、雨が降るような気まぐれな天気となりそうだ。
レースは現地14時にスタートを迎えるが、現地気象台によると、午前は降水確率が0%ながらも、12時以降は一気に80%にまで上昇。18時まで雷を伴うにわか雨の予報が出ている。
なお金曜のデータによると、インターミディエイトタイヤからスリックタイヤへのクロスオーバーポイントは、ドライのラップタイムの112%程度だった。
今のところレースが荒れない理由を探すのは難しい。グレイニング然り、セーフティーカー(SC)然り、チームによってはリスクヘッジのために2台で異なる戦略を取る可能性もありそうだ。