モンテカルロ市街地コースのパドックで肩を組むマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と角田裕毅(ビザ・キャッシュアップRB)、2024年5月23日(木) F1モナコGP
Courtesy Of Red Bull Content Pool

夢のトリオ!?角田裕毅を僚友に欲するフェルスタッペン、2つの”障害” ル・マン24時間レース参戦の暁に

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将来的にル・マン24時間レースでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、そして角田裕毅(RBフォーミュラ1)が夢のタッグを組む日が訪れるかもしれない。

最小重量制限がなく体重が軽いドライバーが有利であるとして3度のF1ワールドチャンピオンは、耐久レースの最高峰、ル・マンで勝利を狙うには角田裕毅(RBフォーミュラ1)がチームメイトとして必要だと述べた。

フェルスタッペンのレースへの愛は留まる事を知らず、父ヨスがかつて参戦したモナコ、インディ500と並ぶ世界三大レースの一つ、ル・マン参戦に対する情熱を公言しており、2度のF1王者、アロンソと伝統の耐久レースでペアを組む可能性について既に話し合っている。

とは言え、まずはFIA世界耐久選手権(WEC)で採用されている現行のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス / 性能平準化)が改定されない限り、夢のタッグが実現することはなさそうだ。

BoPは、最低重量やパワートレインの最高出力、使用可能なエネルギー量などに制限を課し、各車のパフォーマンスを接近させ競争を盛り上げる事を目的とするものだが、特定のチームに対して不公平に優位性や不利をもたらす事があるとして、制限の内容はもとより、決定のタイミングを含めて批判や不満、疑問の声は絶えない。

BoPを公然と批判するチームはペナルティを受けるリスクがあるが、例えばフェラーリが総合優勝を飾った昨年のル・マンでトヨタ陣営は不満を隠す事なく、言葉を慎重に選びながらも小林可夢偉は、競技よりエンタメを優先したとして、ルールが「政治的」に運用されたと仄めかした。

トップチェッカーを受けるフェラーリAFコルセ51号車、2023年6月11日FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レースCourtesy Of FIA WEC

トップチェッカーを受けるフェラーリAFコルセ51号車、2023年6月11日FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レース

ル・マンについてフェルスタッペンは「本当に素晴らしいイベントだし、将来的には間違いなく出たい」として、その魅力の一つにチームメイトとの協力関係が必要な点を上げたが、同時に参戦するにはBoPが抱える今の問題点が解消される必要があると主張した。

「11歳か12歳の頃、父がル・マンのLMP2でレースをしていて、その翌年にはLMP1で走ったんだけど、あの当時は子供だったにも関わらず、信じられない位に素晴らしい雰囲気だったのを覚えている」

「それに、自分だけじゃないってとこも素晴らしいよね? チームメイトと協力し合い、セットアップ面で妥協点を見つけ出さなきゃならない。だからずっと注目してきたし、少しばかり話をしたこともある」

「でも現時点では、僕が参戦するには時期尚早だと思う。新しいレギュレーションに関してもそうだけど、車両間のBoPをもう少し解決する必要があると思う。少し行き当たりばったりな感じがするからね」

BoPだけでなく、F1とは異なりドライバー間の体重の差異を相殺するルールがない事を懸念するフェルスタッペンは、隣にいた角田裕毅に対して「ユーキ、僕のチームメイトになってくれない? 君はすごく軽いから、きっと飛ぶように走れるよ。君なら僕の体重を補ってくれるはずだ!」と語った。

「制限が必要だと思う。だって僕の場合、装備を含めて80kgになると思うけど、その一方で55kgとか60kgのドライバーもいるからね。ユーキ、悪気があるわけじゃないよ!」

「でも、これじゃあル・マンでチャンスはない。1周あたりコンマ数秒の差があるって既に分かってるわけだから。これは驚くほど大きな差だから解決が必要だと思う。平均あるいは最低重量を設けるべきだ」

実弟アルトゥールと共に、将来的なル・マン参戦を望むシャルル・ルクレール(フェラーリ)も「ウェイトリミットに関しては僕もまったく同感だ」と述べ、長身ドライバーのジョージ・ラッセル(メルセデス)もフェルスタッペンに同意した。

「2年ほど前にアレックス(アルボン)と一緒にGTレースとかに出ようって話したことはあるけど、(ル・マンに参戦する上でのチームメイトは)誰が良いんだろうね」とラッセルは語る。

「ただマックスが言ったように、今のル・マンは素晴らしい選手権だけど、僕らのような体重が重いドライバーにとってはかなり不公平だ」

「装備やヘルメットを含めて僕らが80kg近くになる一方、ユーキはスタートする前から僕らよりコンマ6秒も速いわけだからね。20kg差だから1周あたり0.6秒だと思う」

自身に驚異的なアドバンテージがある事を知った角田裕毅は、シェフと並ぶF1後の新たなキャリアの選択肢を見つけたようで「夢の仕事を見つけた気がする!」と語った。

時に過剰な減量が問題視されたように、最低重量制限なしのルールは長身ドライバーにとって深刻だ。

アルボンは、現行グリッドに並ぶF1ドライバーと共に「いつの日かレースに出てみたい」とする一方、「皆が言うように、特に身長が高いドライバーは多分、片腕を切り落とさないと太刀打ちできないと思う」と付け加えた。

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