跳馬1年目でルクレールを下したサインツ、過小評価されていた? レッドブルを去ったのは「遅かったからではない」とマルコ
2021年シーズンの殊勲賞なるものがあるとすれば、それが与えられるべきドライバーの一人はカルロス・サインツだろう。ラリー界レジェンド、カルロス・サインツの息子はフェラーリ移籍1年目にしてチームメイトのシャルル・ルクレールを下した。
サインツはフロントロー1回、表彰台4回を含む20回のポイントフィニッシュで計164.5点を稼ぎ出し、ドライバーズランキング7位に留まったルクレールを抑えて同5位でフェラーリでの1年目を終えた。
確かにルクレールには母国モナコでのポール・トゥ・ウインが幻となる不運があったと言え、予選で一歩先ゆくチームメイトに対してサインツは、レースでの巻き返しと安定性を武器に入賞回数で僚友を上回った。慣れぬチームとマシンでの1年目であった事を思えば評価されてしかるべき成績と言える。
マックス・フェルスタッペンをチームメイトとして同じ年にデビューした当初からサインツが才能を見せていた事に疑いはないが、フェラーリ1年目に4度のF1ワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルを打ち破り、2019年に2024年までの5年もの長期契約延長を掴み取ったルクレールを上回るパフォーマンスを残した事で、2021シーズン後には「サインツがこれまで過小評価されていたのか、それともルクレールが過大評価されていたのか」との議論が一部で沸き起こった。
Auto Bildによるとレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、サインツが過小評価されていたのではなく、ルクレールが過大評価されていただけだと主張した。
「カルロスは非常に優れたレーシングドライバーだ。彼がレッドブルを去ったのはパフォーマンスのせいではない」
「いずれにせよ彼は、ルクレールがおそらく多くの人が思っていたようなワンダーボーイではないという事を示したのだ」
2022年シーズンは空力に関するレギュレーションが刷新される。過去のチーム間序列は白紙に戻り、誰もが勝利のチャンスを手にする事になる。
マルコはフェラーリが競争力あるマシンを用意できれば、かつての教え子が今季のタイトル争いに加わる事は間違いないと考えている。
「新しいレギュレーションが導入されるため今シーズンを予測する事は難しい。だがもしもフェラーリが新車を大ヒットさせるようなことがあれば、カルロスは確実にタイトルを狙えるだろう」
ベッテルのフェラーリ移籍に伴い、マルコはサインツに2015年のトロ・ロッソのシートを与えた。
サインツはフェルスタッペンに負けず劣らずの走りを見せたが、ダニール・クビアトとのトレードで2016年スペインGPでのレッドブル昇格を手にしたのはフェルスタッペンの方だった。
サインツは2017年にクビアトを寄せ付けないパフォーマンスを発揮すると2018年にルノーに移籍。ダニエル・リカルドにシートを奪われた事で2019年にマクラーレンへと籍を移し、2年を経てフェラーリとの契約を掴み取った。
フェラーリのマッティア・ビノット代表はシーズンオフの間にサインツと契約延長交渉を行う方針を示している。サインツがマラネッロの将来に可能性を見い出すなばら、2023年以降もフェラーリに留まる可能性は高そうだ。