天才シャルル・ルクレールは、フェラーリ昇格1年目でF1タイトル争いに食い込めるか?
来シーズンの注目ドライバー筆頭候補の一人が、シャルル・ルクレールである事に疑いはない。21歳のモナコ人ドライバーは、F1参戦1年目にしてキミ・ライコネンをザウバーへと追いやり、1961年のリカルド・ロドリゲスに次ぐ若さでマラネロの門をくぐる事になった。
ルクレールは2019年に4度のF1ワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルをチームメイトに迎え、フェラーリのレギュラードライバーとしてF1世界選手権を戦う事になるが、マウリツィオ・アリバベーネ代表は、ルクレールとベッテルは”異なるキャリアの段階”にいるとして、タイトル争いに絡む事を期待していない。だが、ジュニア時代から切磋琢磨してきたライバルはそうは考えていない。
「来年シャルルがタイトル争いに絡むのは間違いないと思う。僕にとっては何の驚きでもないよ」若手ホープとして、メルセデスのトト・ウォルフが将来のF1ワールドチャンピオン候補と考えるエステバン・オコンは、RaceFans.netに対してこのように見解を述べた。
「彼のことはよく知ってるんだ。最初にシャルルとレースをしたのは2005年のことだった。僕らは当時7歳と8歳で、あれはミニカートのレースだった。1位と2位を走ってた時の事だったんだけど、最終ラップの最終コーナーでクラッシュしちゃったんだ。彼はリタイヤで、僕は6位か7位に終わってしまった」
「それが最初の出会いだった。それ以来僕らは一緒にキャリアを歩んできた。会ったその日に、彼の才能を確信したよ。シャルルはその場で最も速いドライバーだったんだ」
ルクレールは2014年にフォーミュラ・ルノー2.0で選手権2位、15年のマカオF3で2位を獲得した後、16年にARTグランプリからGP3シリーズに参戦。アレックス・アルボンに大差をつけてタイトルを獲得すると、翌年にはFIA F2選手権で22戦中7戦を上げ、圧倒的な強さでF2初代ワールドチャンピオンに輝いた。
2018年にアルファロメオ・ザウバーでF1デビューを果たすと、ベテランのチームメイト、マーカス・エリクソンに対して予選で17勝、勝率にして81%を叩き出し、平均して0.43秒ものギャップを築き上げた。
この活躍を受けてFIAドライバー・コミッションは、2018年のFIAルーキー・オブ・ザ・イヤーにルクレールを選出。FIA-F2選手権時代に続く2年連続の快挙であった。そう、ルクレールは天才と呼ぶに相応しい実力を備えたドライバーなのだ。
フェラーリ1年目にルクレールがチャンピオンシップに絡むと予想するのはオコンだけではない。来年、6度目の選手権制覇を目指すメルセデスAMGのルイス・ハミルトンも「若い連中がのし上がってきてるから、かなり注意しなきゃならない」と述べ、ルクレールを驚異とみなしている。
来年は空力関連のレギュレーションが変更されるため、チーム間の勢力図が変化する事が期待されている。だが、それでもなお、シルバーアローと跳ね馬がしのぎを削り合う事に疑いはない。フェラーリのマシンを駆る以上、ルクレールが目指すのは勝利のみ。ベッテルのサポートする気はさらさらないようだ。
「どんなチームでも同じだと思うけど、同じ立場でシーズンをスタートしても、ある時点でどちらかがチャンピオンシップを賭けて戦い、もう一人はそこからこぼれ落ちるものだ」とルクレール。
「セカンドドライバーがファーストドライバーをサポートするのは当たり前の事だと思うし、そういう心づもりでいる。もし僕がセカンドドライバーの立場になったとすれば、タイトルの可能性はないからね」
「でも、僕はセカンドドライバーになるためにフェラーリに移籍するつもりはない」
ルクレールは来年、地元モナコとフェラーリの聖地モンツァでの2勝を目標に掲げている。