いよいよ佳境!フェルスタッペンがF1サンパウロGPでハミルトンの自力優勝の望みを絶つための条件
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11月12~14日にインテルラゴス・サーキットで開催されるF1第19戦サンパウロGP(旧ブラジルGP)は、キャリア初のF1ワールドチャンピオンを目指すレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンにとって決定的な1戦となり得る。
エルマノス・ロドリゲスでのF1第18戦メキシコGPを終えてバルテリ・ボッタス(メルセデス)のタイトル獲得の可能性は完全に消滅し、ドライバーチャンピオン争いはフェルスタッペンとルイス・ハミルトンの一騎打ちに絞られた。
全22戦の2021年シーズンもいよいよ佳境を迎える。インテルラゴスで行われる次戦サンパウロGPの結果で今季タイトルが決する事はないが、計算してみたところハミルトンの自力優勝の可能性が消滅するシナリオが存在する。
ハミルトンの自力優勝の望みを経つ条件
まずはポイント配分のおさらいだ。レースではトップ10フィニッシャーに対して上から順に「25-18-15-12-10-8-6-4-2-1」のポイントが付与される。更にその中でファステストラップを獲得した者には追加で1点のボーナスが与えられる。
そしてサンパウロGPで行われるスプリント予選では、上位3名に「3-2-1」の得点が加算される。
メキシコGPで15位ノーポイントに終わったボッタスの累積点は185点。残り4戦で獲得できる理論上の最大ポイントは(25 + 1)✕ 4 + 3 = 107点であるため、これを足し合わせても185 + 107 = 292点でポイントリーダーのフェルスタッペン(312.5点)には届かずタイトルの可能性はゼロだ。
フェルスタッペンがサンパウロでハミルトンの自力優勝の可能性を消滅させるためにはレースでの優勝に加えて、スプリント予選(SP)とファステストラップ・ポイント(FLP)の合計点においてハミルトンとの差を2点以下に抑えれば良い。
この条件を満たせば、例えハミルトンがサンパウロGPで2位となり、かつ残りのシーズン3戦で優勝+ファステストの満額26点を獲り続けたとしても、全戦2位でチェッカーを受ければフェルスタッペンの初タイトルが決する事となり、ハミルトンのF1史上最多となる8冠目の運命は残り3戦におけるフェルスタッペンの成績に左右される事になる。
なおサンパウロGPを終えてハミルトンに対するフェルスタッペンのリードが24点の場合でかつ、ハミルトンが最終3戦でフルポイント(26 ✕ 3)を達成してフェルスタッペンが2位を獲得し続けた場合、両者は最終的に391.5ポイントで並ぶ事になるが、この場合も優勝回数で9勝のハミルトンを上回るフェルスタッペン(10勝)がチャンピオンとなる。
ハミルトンの立場に立つと、サンパウロGPでフェルスタッペンに優勝を許してなお自力優勝の望みを繋ぐためには、SPとFLPの合計点で3点差以上をつけて2位フィニッシュすれば良いという事になる。
サンパウロを制すればフェルスタッペン安泰?
ではサンパウロを制すればフェルスタッペンは安泰なのだろうか? 否、ライバルはそうは考えていない。メルセデスはカタール、サウジアラビア、アブダビの最終3戦は自分達のマシンにアドバンテージがあると考えている。
もし仮にメルセデスW12が中東3戦で優勢を築いた場合、フェルスタッペンの2位フィニッシュは困難となり得る。車体に明らかな競争力の差があれば、ボッタスが2位表彰台に上がる可能性はぐっと高まる。
ハミルトンが優勝してフェルスタッペンが2位表彰台に上がれない場合、形勢は一気に逆転する事になる。ハミルトンの命運を握るはボッタスだ。
逆に言えば、フェルスタッペンの初タイトルを大きく左右し得るのはセルジオ・ペレスだ。
仮にメルセデスが予選でフロントロー独占を手にしても、ペレスが決勝で上位に接近して戦うことができれば、レッドブル・ホンダとしてはアンダーカットやオーバーカットを利用して戦略的にフェルスタッペンの2位を狙う事が可能となる。
また、今週末のサンパウロGPでハミルトンを退けてペレスが2位フィニッシュすれば、実質的にフェルスタッペンに3点を上乗せする事も可能だ。
究極的には両チームのセカンドドライバーの勝敗がフェルスタッペンとハミルトンの運命を決定付ける可能性もある位、2021年のタイトル戦は超絶タイトなのだ。
果たしてフェルスタッペンは、過去2回でリタイヤを余儀なくされた鬼門のスプリント予選フォーマットが適用される今週末のサンパウロGPで、2019年の前回大会に次ぐ勝利を上げてハミルトンの自力優勝の望みを絶つことができるだろうか?
F1サンパウロGPは日本時間11月12日(金)24時30分からのフリー走行1で幕を開ける。同日28時からは1時間に渡って公式予選が行われる。