カルビン・ロー、ウィリアムズF1投資はおろか…欺瞞に満ちた資産と経歴。億万長者に非ずとフォーブス報告

孤児院を訪れた香港の大富豪カルビン・ローcreativeCommons DHeditorDH

ウィリアムズF1チームへの関与が噂され、2026年の新規F1参戦を目指す複数の候補団体と協議しているとしていた香港の大富豪カルビン・ローだが、6カ国計40名の関係者に対する聞き取りを含む約1年に及んだ調査を経て経済誌「フォーブス」は、その資産と経歴は欺瞞に満ちたものだと結論づけた。

カルビン・ローは、英国グローブのチームの共同オーナーであると繰り返し、アンドレッティ・キャデラックとハイテックへの関与は否定しつつも、26年の参戦を目指す複数チームと交渉していると明かしていた。

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星条旗をモチーフとしたスペシャルリバリーに彩られたウィリアムズの2018年型F1マシン「FW41」、2022年10月 (3)

だがフォーブスは7月末、世界6箇所に住まいを持ち、ワールドクラスのシャンパンやスーパーカーのコレクションを所有し、五つ星ホテルとF1チームに投資を行い、世界中を旅する億万長者兼投資家兼慈善家であることを執拗に宣伝してきたカルビン・ローの資産や経歴のほとんどは「フィクション」だったとの調査報告をまとめた。

リストに名を連ねようとする「驚くほど多く」の人々と同じ様にカルビン・ローは、億万長者リストに載るためにフォーブスに接触。「2年以上」の歳月を費やして幾つもの虚偽の証拠を提示し、「必死に富を偽っていた」という。

その絢爛華麗な私生活は母レジーナによって賄われていた。裕福であることに間違いはないものの、カルビン・ローの資産の殆どは偽りで、彼と両親の資産についてフォーブスは合計で2億ドル(約285億円)未満と見積もった。海外で言う億万長者、ビリオネアは資産10億ドル以上を指し、カルビン・ローの純資産は17億ドルとされていた。

カルビン・ローは「世界最大の生命保険会社ブローカー」である「R.E.リー・インターナショナル」のCEO兼オーナー、そして80億~100億ドルの資産を持つ資産運用会社「R.E.リー・キャピタル」の創業者であり、ハーバードで教育を受けたとされる。

また、2018年には12億ドルを支払って台北の5つ星マンダリン・オリエンタル・ホテルを購入。2億5000万ドルの慈善財団を設立した慈善家であり、ウィリアムズF1チームの投資家でもあるとされた。

だが実際には、R.E.リー・インターナショナルの企業価値は約6,000万ドルに過ぎず、マンダリン・オリエンタル台北の所有者は他にあり、ハーバード・ビジネス・スクールにはカルビン・ローという名前の人物が卒業した記録はなく、また設立したとされる慈善財団「R.E.リー・オクタゴン」は存在しなかった。

R.E.リー・キャピタルは母レジーナが事業に関与しているもののカルビン・ローとの関係はなく、更に運用資産も偽りであった事が確認され、本人から提出された住所にある不動産は両親、あるいは他人名義だった。

また、オーナーのドリルトン・キャピタルを通してウィリアムズF1チームに出資しているとの主張に関しては、チーム内の情報筋によれば、ドリルトンもウィリアムズもカルビン・ローが誰なのかさえ知らないという。

彼の元妻エミリーによると、カルビン・ローは学歴や職歴、年齢についても嘘をついていた。2014年の離婚裁判の中で判事は、カルビン・ローの当時の純資産を約360万ドルと結論づけた。

カルビン・ローはフォーブスに対し、2026年のF1参戦候補チームに関するインタビューを申し出ていたが、彼が億万長者ではないという一連の調査結果を伝えると「興味を失ったと主張した」という。

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