ブリヂストン、ドライバーがF1復帰を支持…FIAに高性能タイヤ保証との報道。ピレリに「最大の脅威」

壁面に取り付けられたブリヂストンのロゴCourtesy Of Bridgestone

2025年のF1復帰が噂されるブリヂストンは「真剣」な候補と見なされており、現行のピレリ製より長時間に渡ってよりハードにプッシュできるタイヤの供給を国際自動車連盟(FIA)に保証した、との内部関係者の話を英「BBC Sport」が伝えた。

2025年からの3シーズンに渡る独占タイヤ供給契約に関する入札プロセスは5月15日に締め切られ、F1の商業権保有者であるリバティメディアとの商業交渉に進む「承認入札者」が6月16日(金)に決定された。

Courtesy Of Alfa Romeo Racing

ザントフォールト・サーキットに揺らめく国際自動車連盟(FIA)の旗、2022年9月1日F1オランダGP

一連のプロセスおよび、承認入札者は公表されておらず、今後も公式の発表は行われない見通しだが、報道によるとピレリとブリヂストンの両社がFIAによる技術評価を含む、この第一プロセスを通過した。現時点で今後のタイムスケジュールは明らかにされていないが数ヶ月を要する可能性がある。

伝えられるところによると高位の情報筋は、ブリヂストンがFIAに提出した入札書類は「印象的」で、同社はピレリに代わる候補として「真剣に検討されている」と語った。

ドライバー達もブリヂストンが入札した事を把握しており、一部はこれを支持していると報じられた。ある匿名のドライバーは、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が同社製のかつてのF1タイヤを高く評価している事を明かしたという。

2人のF1ワールドチャンピオンは現役ドライバーの中で唯一、2010年以前のF1でブリヂストンタイヤを使用した経験があり、オーバーヒートを心配する事なく、レースを通して全開で走り続ける事ができた点に対して特に好印象を持っているという。

ワーキングレンジが狭く、また、タイヤの温度が一定以上に達すると急激にパフォーマンスが低下するというピレリタイヤの問題は、永らくドライバー達から批判されてきた。F1側が要求しているデグラデーションとは無関係に、ドライバー達はプッシュしたくてもオーバーヒートが足かせとなってプッシュできないというジレンマを抱えている。

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ピットストップ練習でブリヂストン製F1タイヤを交換するスクーデリア・フェラーリのメカニック、2010年

この点についてピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、ピレリが承認入札者となった事を認めた上で、対処すべき課題だとする一方、18インチタイヤが導入された昨年の時点ではそのような話は出ていなかったとして「少し奇妙だ」と付け加えた。

関係者の中には「モータースポーツ界で高い評価を得ているブリヂストンが、要求を満たすタイヤを作るのが難しいとは思えない」と語る者もあり、日本メーカーの復帰を支持する声がある一方、10年以上に渡ってF1に対して協力的な姿勢を貫いてきたピレリを推す声もある。

ブリヂストンが参戦していた当時と比べて、ハイブリッドエンジンを搭載する現行世代のF1マシンの車重は200kg以上も重く、ダウンフォースも大幅に増え、コーナリング中のタイヤに掛かる負荷は格段に増大した。

またブリヂストンにとっては、2025年の1シーズンのためだけに新しくタイヤを設計・製造しなければならないというピレリには該当しない厄介な問題もある。更に、2025年のプレシーズンテストまでは20ヶ月しかなく、タイヤの準備に割ける期間は僅かだ。

F1公式タイヤサプライヤーとなった2011年以降、ピレリがその立場を脅かされたのはこれが初めてではない。ミシュランはF1と幾度もの交渉を重ね、ハンコックは前回の入札に参加した。だがF1はピレリをパートナーに選んできた。

しかしながらBBC Sportは、「遥かに強力な評判を持つ」ブリヂストンの入札は「これまでとは大きく異なる」ものであり、ピレリにとって「F1参入以来、最大の脅威」だと指摘した。

ブリヂストンに近い情報筋によると、15年ぶりのF1復帰を目指す背景には、同社が知名度向上を望むアメリカ市場におけるF1の人気拡大が考えられるという。ブリヂストン傘下のファイアストンは、北米最高峰のオープンホイール、インディカー・シリーズにタイヤを供給している。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

18インチピレリタイヤ、ヤス・マリーナ・サーキットで2021年12月15日に行われたF1アブダビテストにて (1)

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