ハミルトン「失格による勝利は望んでいない」ラッセルに寄り添うメルセデス、徹底調査と再発防止を約束
僚友ジョージ・ラッセルの失格により2024年のF1ベルギーGPでキャリア通算105勝目を挙げることになったメルセデスのルイス・ハミルトンは「失格による勝利は望んでいない」としつつも、マシン開発が功を奏して待ち望んだ優勝争いにカムバックしたことを前向きに強調した。
ハミルトンはスタート直後にセルジオ・ペレス(レッドブル)を抜き去り、DRSが解禁された3周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)を交わしてトップに立った。
その後は快適なリードを保ち、ルクレールのアンダーカットを防いで今季2勝目に向けて順風満帆なレースを戦っていた。
しかしながら、タイヤの状態に好感触を得たラッセルが、堅実な5位フィニッシュではなく逆転勝利の果実を取りに行くべく1ストップ戦略を採用。これによりハミルトンは2番手に後退した。
ハミルトンは残り数周でラッセルを追い詰めたが交わすには至らず、ラッセルがトップチェッカーを受け、メルセデスは1-2フィニッシュという最高の結果でシーズン前半戦を締め括った。だが、その甘美なひと時は約2時間半で終りを迎えた。
レース後の計量検査でマシンが最低重量の798kgを1.5kg下回っていることが発覚し、ラッセルは天国から地獄へと突き押された。
メルセデスのトト・ウォルフ代表は「失格は甘んじて受け入れなければならない」として、スチュワードの決定に意義を申し立てない意向を明らかにした。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「ジョージが失格になったのは本当に辛い。彼はタイヤを守りながら素晴らしいドライブを見せ、フィニッシュまで守り抜いたというのに」と寄り添った。
車重不足になった原因については、現時点ではまだ不明だとしつつも、「1ストップでタイヤのゴムが消耗したことが要因の一つ」との見方を示して「原因を突き止めるために徹底的に調査する」と表明。また「言い訳をするつもりはない」と強調し、再発防止を誓った。
F1ベルギーGPメルセデス:ドライバーコメント
ルイス・ハミルトン
決勝: 1位
グリッド: 3位
1-2フィニッシュを失うのはチームにとって、もちろん残念なことだけど、今日は多くの収穫があった。クルマの調子は良く、予想以上にペースがあった。
似たようなパフォーマンスの幾つかのクルマとバトルになったけど、一旦、前に出るとそのポジションをキープすることができた。
僕らは2ストップ戦略を採用して後方の連中をカバーした。ジョージは1ストップを上手くやり遂げた。最終ラップで彼に近づいたけど、ダーティーエアで抜けなかった。
ジョージのことを思うと心が痛む。失格による勝利は望んでいないけど、過去数レースで僕らは勝利争いに戻ってきた。
今は競争が本当に激しくなっているから、一貫して勝利を争うためには努力し続ける必要があるけど、勢いとポジティブな気持ちを以て夏休みに入ることができる。
ジョージ・ラッセル
決勝: 失格
グリッド: 6位
今日のレースで失格だなんて胸が張り裂けそうだ。1ストップ戦略を成功させた本当に素晴らしいグランプリだったのに。
最終スティントに入るとタイヤがどんどん良くなっていった。スティントの序盤にタイヤを温存していたんだ。レースが進むにつれて最後まで走りきれるという確信が深まっていった。リスクを取る価値があったと思ったし、それが報われたと思っていた。
失格にはなったけど、誰よりも最初にフィニッシュラインを越えたことを誇りに思う。ルイスがチームに勝利をもたらしてくれたのも良かった。彼は2ストップ戦略を採った中で最速だった。
本当に残念だけど、夏休み明けのザントフォールトで力強く戻ってきたい。
2024年F1第14戦ベルギーGPではトップチェッカーを受けたジョージ・ラッセル(メルセデス)が失格となり、僚友ルイス・ハミルトンが昇格の今季2勝目を挙げた。
F1サーカスはこれより4週間弱のサマーブレイクを迎える。ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは8月23日のフリー走行1で幕を開ける。