レッドブルとの1.8秒差に打ちひしがれるメルセデス陣営「溜まったもんじゃない」遂に決断の時か
上位勢とのギャップを縮められるとの意気込みと、新型フロアを含む意欲的アップグレードと共にスパに乗り込んできたけに、レッドブルとの途方もないギャップはメルセデス陣営を唖然とさせるに十分なものだった。
前戦ハンガリーGPでのジョージ・ラッセルの衝撃的ポールから一転。伝統のスパ・フランコルシャンでシルバーアローは全くペースを引き出せず、27日のF1ベルギーGP予選でルイス・ハミルトンは7番手、ジョージ・ラッセルは8番手に終わった。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)やシャルル・ルクレール(フェラーリ)といったトップランナーに降格ペナルティが科されたため、本来であればポール争いに名乗りを上げるべきところ、メルセデスはアルピーヌの2台にすら遅れを取り、挙げ句、ウィリアムズに対して1000分の61秒差にまで詰め寄られた。
それ以上に問題なのは、最上位ハミルトンをして予選最速のフェルスタッペンに1.838秒もの大差をつけられた事だ。100秒オーバーのサーキットとは言え、2秒弱のこのギャップは余りに大きい。
予選Q3の最終計測ラップを終え、レースエンジニアからトップとのタイム差を告げられたハミルトンは、信じられない様子で一言、一言を区切るように「1.8秒!?」と絶句。ヘルメットを脱ぐとこの差について「溜まったもんじゃない」と肩を落とした。
「誰もが改善のために頑張っているし、ギャップを縮められると楽観的に考えてここに来たから、1.8秒差というのは本当に歯がゆい。でもこれが現実だ」
「苦労し続けているだけに、今シーズン末にこのクルマを未練がましく思う事はないだろうね」
ゼロポッドにこだわり走り続けた半年を経てハミルトンは「再編成し、来年のクルマが僕らの要求に耐えるものになるよう取り組んでいかなきゃならない」と述べ、チームに対して焦点を早々に来季に向けるべきだと訴えた。
「気温が低いと僕らは苦労する傾向にある。今年のイモラもそうだったけど、タイヤを上手く機能させる事ができていない」とラッセルが語る通り、敗因の一つは熱入れだが、ハミルトンは「あまりにドラッギーで、コーナーでエアロバランスが安定していなかった」と付け加えた。
チーム代表のトト・ウォルフは、他者のペナルティによってハミルトンが4番手、ラッセルが5番手に昇格になる事を踏まえてなお、今週末のグリッド争いはメルセデスにとって「過去10年間における最悪の予選」であり「受け入れ難い」と総括した。
ウォルフはまた、今週末の苦戦の原因について明確な答えが出ていないとして「週末を通してずっと、クルマのパフォーマンスに関するポジティブな話は出なかった。だから今こそ、一旦状況を整理して、来年に向けてどうすべきかを決める時だと思う」と述べ、コンセプト変更を含めて何らかの決断を下すべき時期に達したと仄めかした。
2022年F1ベルギーGP予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が最速を刻むも、エンジン交換ペナルティを受ける事から、カルロス・サインツ(フェラーリ)が繰り上がりのポールポジションを獲得した。角田裕毅(アルファタウリ)は19番手。13番グリッドからの巻き返しに臨む。
F1ベルギーGPの決勝レースは日本時間8月28日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周7,004mのスパ・フランコルシャンを44周する事でチャンピオンシップを争う。