
F1モナコGPグリッド変動:赤旗違反でベアマンに”厳罰”―スチュワード、釈明を一蹴
5月23日(金)に行われた2025年F1第8戦モナコGPの2回目のフリー走行(FP2)において、赤旗中に他車を追い越したとして、オリバー・ベアマン(ハース)に10グリッド降格とペナルティポイント2点という厳しい処分が科された。
赤旗中の違反は安全上の観点から厳罰が科されることが多いが、今回の処分は特に重く、ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名の競技審判団はベアマンの釈明を退け、厳正な裁定を下した。
赤旗中にサインツをパス
問題のシーンは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がサン・デボーテでクラッシュし、2回目の赤旗が提示されたタイミングで発生した。ベアマンはラスカス・コーナー手前でカルロス・サインツ(ウィリアムズ)を追い越したが、その右側には赤旗を示す表示板が明確に掲示されていた。
FIA国際競技規則(ISC)付則H第2条5項4号1(b)は、赤旗提示時の追い越しを禁止しており、ドライバーは「直ちに」減速し、ピットへ戻らなければならないと定めている。さらに、コース上には他のレース車両やサービス車両が存在する可能性があるとして、注意を促している。
「減速は危険と判断」と釈明も通らず
現地時間18時20分から行われた聴聞会を経てスチュワードは、チームからの赤旗通知が「オーバーテイク直前というかなり遅いタイミングだった」と認めつつも、当時ベアマンの前方には赤旗を示すライトパネルが点灯しており、ステアリング上のディスプレイにも赤旗が表示されていたことを指摘した。
ベアマンは「赤旗を確認していたものの、急減速はより危険であると判断したため、あえて減速せず、そのまま追い越した方が安全であると感じた」と主張したが、スチュワードは「同意しない」と一蹴した。
「ドライバーに対して直ちに減速することを求める理由は、安全確保のためだ。前方に何があるか、なぜ赤旗が出されたかを把握できない状況では、特にモナコのような市街地コースにおいて、その必要性は極めて高い」と指摘した。
情状酌量なしの厳罰、累積4点に
最終的にスチュワードは「情状酌量の余地はない」とし、10グリッド降格とペナルティポイント2点の処分を決定。これにより、ベアマンの累積ペナルティポイントは計4点に達した。
ベアマンは昨年、ケビン・マグヌッセンの代役としてF1ブラジルGPに出走した際、フランコ・コラピントとの接触によって2点のペナルティを科されている。
ベアマンが赤旗に関連する論争の渦中に置かれたのは2戦連続だ。前戦エミリア・ロマーニャGPでは、予選Q1でのアタックラップについて、コラピントのクラッシュに伴う赤旗提示の3.3秒後にフィニッシュラインを通過したとして、ベストラップタイムが抹消された。