フェラーリのシャルル・ルクレール、F1アゼルバイジャンGPにて
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「…愚か者だ」と自らを罵るルクレールにライバルが同情「気持ちは痛いほどよく分かる」F1アゼルバイジャンGP予選

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「…僕は愚か者だ。。」ポールポジション候補筆頭に数えられていたフェラーリのシャルル・ルクレールは、アゼルバイジャンGP予選のQ2でクラッシュを喫した後、不甲斐ない自らのミスに失望と怒りをぶつけた。

ロバート・クビサの事故処理のために、バクーの予選Q2は路面温度が32度まで低下したコンディションでスタート。熱の入りにくい中間コンパウンドのミディアムでアタックに出たフェラーリに悲劇が襲った。

チームメイトのセバスチャン・ベッテルにスリップストリームの利を与えるべく、前を先行していたルクレールが、クビサと全く同じようにターン8でバリアに突っ込みクラッシュ。時計の針は7分41秒で止まり、ポールの夢は潰えた。無線からは「僕は愚か者だ…バカ野郎だ」と自分を罵るルクレールの声が虚しく響いていた。

「僕だって同じように自分に失望しただろう」ライバルのルイス・ハミルトンは、ルクレールの気持ちを推し量り、自身のエラーによって取り返しのつかない結果を招いたルクレールに同情した。13シーズン目を迎えた5度のF1ワールドチャンピオンは、2年目の新人に若若かりし頃の自分の姿を重ね合わせていた。

「バクーのようなトラックでは、彼のような若いドライバーの肩には大きなプレッシャーがのしかかるものだ。それが普通だよ。何年も前に僕も同じような経験をした事があるけど、その時は数日間部屋から一歩も出られなかった。彼がどう感じてるかについては痛いほどよく分かる」

「ミスをした時、レーシングドライバーは自分を責めるものだ。年を重ねていけば、幾分そういった事も少なくはなるけど、それでも心が痛む事に変わりはない」

チームメイトである4度のF1ワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルもまた、ルクレールの状況に共感を示した。「ミスをすれば自分を責めてしまうものだ。普通のことだよ。満足できるわけないんだから」

「自分に批判的であるからこそ、彼はここに到達できたんだし、僕らがここにいる理由も同じだ。週末はまだ終わったわけじゃない。僕らには素晴らしいマシンがある。明日はチームとして挽回できると信じてる」

感情を表立って表現することのないバルテリ・ボッタスは「僕らフィンランド人はああいう具合に大声を出したりはしないかもしれないけど」と前置きしつつも「彼の事は完全に理解できる。自分のミス、避けられたはずのミスが一番キツイしイライラするものだ」と付け加えた。

コントロール・エレクトロニクスを交換した事で、アルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィが10グリッド降格を受けるため、ルクレールは日曜のレースを9番グリッドからスタートする。

「言い訳はしない」とルクレール。「僕は能なしだった。明日はより良い結果のためにプッシュするつもりだ。僕らをサポートしてくれているみんなとチームに申し訳なく思う。彼らにはこんな結果は相応しくない」

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