バクー市街地コースでメルセデスW12を駆るルイス・ハミルトン、2021年6月4日F1アゼルバイジャンGPにて
Courtesy Of Daimler AG

6年ぶりのW圏外…かつてない危機感を覚えるメルセデス、”最悪の金曜”を経て”史上最も過酷な予選”を覚悟

  • Published:

ディフェンディングチャンピオン、メルセデスAMGペトロナスF1チームは6月4日(金)のF1第6戦アゼルバイジャンGP初日プラクティスを終え、2日目土曜に行われる予選が”史上最も過酷なセッション”になる事を恐れている。

この日の午前のセッションではルイス・ハミルトンが7番手、バルテリ・ボッタスが10番手と、共にミッドフィールダーにすら遅れを取るポジションでクルマを降りた。午後になっても苦戦は変わらず、FP2ではハミルトンがセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)から1秒落ちの11番手、ボッタスに至っては2秒落ちの16番手と、2台揃ってトップ10圏外に沈んだ。

メルセデスの2台がトップ10圏外となったのは、2015年バーレーンGPのフリー走行以来、実に6年ぶりの事だった。

午後のセッション終盤に行われたロングランでは両者ともに高い競争力を発揮し、レッドブル・ホンダのコンマ1秒遅れ程度の好ペースを刻んでいたが、シングルラップにおいてはコンマ6秒という大差が付いている。

トラックサイドエンジニアリング部門を率いるアンドリュー・ショブリンは「ギャップという点で最悪の金曜日になった」と述べ、クルマを改善させるためには「非常に重要な何か」を見つけ出す必要があると訴えた。

予選が行われる2日目に向けてメルセデスは、分析とシミュレーター作業によって問題解決を図りたいとしているが、ショブリンは必要な解決策は一つではなく「多くの答えを見つけ出さなければならないのは明らかだ」としている。

チーム代表を務めるトト・ウォルフは、W12がモナコとバクーに適さない事は以前から分かっていた事だとした上で、予選について「おそらく今までに見た中で最も難しいセッションの一つになるだろう」と述べ、2015年のシンガポールGPに触れた。

この年のメルセデスは前シーズンから続く23戦連続ポールポジションを誇っていたものの突如失速。セバスチャン・ベッテルに予選最速の座を奪われ、ハミルトンが5番手、ニコ・ロズベルグが6番手に沈んだ。ポールとのギャップは1.415秒と大きく開いた。

ウォルフはどのような結果になっても「甘んじて受け止めるつもりだ」とする一方、クルマは決勝レース向けに仕上がってきているとして「日曜日に挽回できる余地はある」とも語った。

バクーでの初日を終えたハミルトンは「単純に全然速さがなかった」と1日を振り返り「今夜はチーム全員が頭を抱えながら、何が問題なのかデータを分析する事になるだろう」と語った。またボッタスはバクーでのメルセデスW12について「何かが根本的に間違っている」と指摘し、全てを洗いざらい分析する必要があるとの認識を示した。


初日をトップで締め括ったのはセルジオ・ペレス。2番手にマックス・フェルスタッペンが続き、レッドブル・ホンダが1-2体制を築いた。3番手には低速で高い競争力を発揮するフェラーリのカルロス・サインツが続く結果となった。

F1アゼルバイジャングランプリ3回目のフリー走行は日本時間6月5日(土)18時から、公式予選は同21時から1時間に渡ってバクー市街地コースで開催される。

F1アゼルバイジャンGP特集