アルピーヌF1のサフナウアー後任、フェラーリ製エンジン熟知のあの技術者が濃厚か
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F1第13戦ベルギーGPを以て退任したオトマー・サフナウアーの後任は誰か? パドックではフェラーリの元F1チーム代表、マッティア・ビノットがアルピーヌF1の新たなチーム代表として有力視されている。
スパ・フランコルシャンでのイベント初日の午後、アルピーヌは3名の上級幹部の離脱を発表した。サフナウアーに加え、34年に渡って英国エンストンのチームでキャリアを歩んできたスポーティング・ディレクターのアラン・パーメインと最高技術責任者のパット・フライがチームを去った。
一連の発表がチームの先行き不安とみなされたのは必然だった。後任が未定なのだ。サフナウアーの役割は、新設アルピーヌ・モータースポーツのバイスプレジデントを務めるブルーノ・ファミンが引き継ぐが、これはあくまでも暫定的な措置であり、新チーム代表は決まっていない。
エンストンのチームの過去5年は激動だ。2018年以降、シリル・アビテブール(チーム代表)、マルチン・ブコウスキー(エグゼクティブディレクター)、ニック・チェスター(テクニカル・ディレクター)、ボブ・ベル(最高技術責任者)、ピーター・マチン(空気力学責任者)、レミ・タフィン(エンジンチーフ)がチームを去った。
スズキMotoGPのダビデ・ブリビオはレーシング・ディレクター就任から僅か1年でF1プロジェクトを離れ、2度のF1ワールドチャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソはアストンマーチンに、若手最大のホープ、オスカー・ピアストリはマクラーレンに移籍した。
貧乏くじとなりかねないサフナウアーの後任は誰になるのか?
F1公式プレゼンテーターのローレンス・バレットは「情報筋によれば、元フェラーリのプリンシパル、マッティア・ビノットがフランスチームでのF1への復帰を目指しているようだ」と伝えた。
チーム代表としての能力は評価の分かれるところであろうが、ビノットは特にマラネロのパワーユニット部門を率いていた有能なエンジンエンジニアであり、どのチームかはさておき、その豊富な知識と経験からF1復帰は確実と見られる。
アルピーヌ「A523」が搭載するF1パワーユニット「ルノー E-Tech RE23」はホンダやメルセデス、フェラーリに比べて15~25Kw (20~33馬力)ほど出力が劣っており、アルピーヌからの懸念の声を受け国際自動車連盟(FIA)は、エンジンの均等化について検討を進めている。これは1周あたり約0.25秒に相当する。
メルセデスが反対している事もあり、実際に均等化のための措置がとられるかどうかは不透明だが、アルピーヌとしては少なくとも、この状況を2026年の次世代パワーユニットに引き継ぎたいとは思っていないはずだ。ビノットを引き入れる事は理に適っている。
ビノットが有力候補であるとの見方はバレットに留まらない。
ビノットについて英「Sky Sports」で解説を務めるマーティン・ブランドルは「フェラーリにおける経験が豊富である事に加えて、F1チームの運営についても精通している」として、ビノットがサフナウアーの後任として発表されても「驚かない」と語った。
ルノー・グループのルカ・デメオCEOが早期の改善を望む一方、アルピーヌは今季開幕12戦を終えてコンストラクターズ選手権5位のマクラーレンに2倍近いポイント差をつけられ6位と低迷しており、その実現は早くとも2024年を待つ必要がある。