アルピーヌF1の”100戦計画”、120に延びるかもとロッシCEO
100レース以内に上位争いを達成するという「100レース計画」についてアルピーヌのローラン・ロッシCEOは、120レースに延びるかもしれないと認めた。ただ同時に、アストンマーチンの飛躍を目の当たりにして、そのアプローチ自体に疑問を抱いているかのようだ。
ルノーからアルピーヌへとリブランドされた2021年にロッシは、2024年にできるだけ多くの表彰台獲得を目指すとする「100レース計画」を発表した。
デビューイヤーはコンストラクターズ選手権5位と、前年と変わらぬ位置に甘んじたが、翌2022年は4位に浮上。順調に歩みを進めているかに思われた。
だが、トップ3への接近を目標に掲げた2023年シーズンはメカニカルトラブルやチーム及びドライバーエラーが相次ぐ厳しい形で幕を開け、ロッシはメディアを通して「道楽」という言葉を使ってチームを公然と批判した。
その後、エステバン・オコンがモナコGPで3位表彰台に上がるなど持ち直しつつあるが、開幕8戦を終えて獲得したポイントは僅か44点に留まり、4位フェラーリに78点差のランキング5位と、目標達成には程遠い状況にある。
ロッシは英「BBC」とのインタビューの中で、フロントランナーに迫るためには「100レース計画」の目標期日を1年延長しなければならない可能性がある事を認め、現行技術規定の最終年となる2025年までに実現させたいとの意向を明らかにした。
「(計画開始から)3年目を迎えた今年(の成績)が何であれ、120に延びるかもしれない。なぜなら(現行規定の)時代が1年延長され、2025年まで続く事になったからだ」とロッシは語る。
「私の目標は2025年までにアルピーヌF1チームがトップチームと同じ資本を持ち、それを使って表彰台の有力候補となれるよう運営すること。それだけだ」
ロッシはまた「我々は今も採用活動を進め、設備やリソースを確保している」と付け加え、ハリウッド俳優のライアン・レイノルズを含む米国の投資家グループに株式の24%を売却した事に触れて「この投資は我々が更に迅速に進むのに役立つだろう」と主張した。
「120レース計画」への軌道修正の可能性についてロッシは、現行レギュレーションの延期を理由に挙げたが、延期がとうに確定していた昨年秋の段階で「100戦計画」を変更するつもりはないと胸を張っていた。
真の理由は飛躍を遂げたアストンマーチンだろう。
アストンマーチンは昨年、コンストラクターズ選手権7位と下位に沈んでいたが、アルピーヌからフェルナンド・アロンソを引き抜いた今季は一気に競争力を上げ、開幕8戦を終えてフェラーリやメルセデスを上回る2位につけている。
これは競争力の向上に必ずしも十分な時間が必要ではない事を示す例と言える。
ロッシは「我々が自分たちが上昇機運にあると考えていたが、突然、我々全員を飛び越えるチームが現れた」と述べ、アストンマーチンを過小評価していた事を認めると共に、ローレンス・ストロール率いる英国シルバーストンのチームは目標達成に相応の時間がかかるのが「当たり前」であった業界の慣例を「少し変えたのだと思う」と続け、「100レース」というロングスパンで上位を目指す自分たちの方法論に疑問を抱くような様子を見せた。