アルファタウリ代表トスト、3年目の角田裕毅に厳しい要求「経験を積んできたのだから…」
スクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表は3シーズン目を迎える角田裕毅に対し、23戦の全てでQ3に進出し「昨年よりも多くのポイントを獲得せよ」との要求を突きつけた。
リザルトという形で明白に表れているわけではないが、昨年の角田裕毅は総じて、自身より遥かに経験豊富なピエール・ガスリーを相手に負けず劣らずのパフォーマンスを発揮し、堅実な仕事をしてみせた。
ハイライトはエミリア・ロマーニャGPだった。天候に翻弄されたスプリント週末のイモラで角田裕毅は全セッションでガスリーを上回り、土曜レースで4つ順位を上げると日曜の決勝では5台を抜き去り7位入賞を果たした。
それでもグランドエフェクトカー時代初のアルファタウリAT03は先代よりも遥かに競争力が低く、総獲得ポイントでは4分の1以下に留まり、コンストラクターズ選手権9位と転落した。
2023年の新車「AT04」のリバリー発表を経てトストは昨年の角田裕毅について「クルマに苦労していた」と語った。
「今年のクルマはかなりの競争力を持つだろう。ゆえにユーキは全戦で、予選Q3進出と決勝でのポイント獲得を目標にしなければならない」
「彼は非常に高い技術を持ったドライバーだ。それにF1で2シーズンを過ごし、多くの経験を積んできた。だからこそ昨年よりも多くのポイントを獲得しなければならない」
プレシーズンテストすら終えていない段階でこれほど具体的な成績目標を口にするチーム代表は珍しい。通常、この時期のチームはカードを伏せたままにしておくものだ。
これはAT04に対する期待が如何に高いか表すものと言えるが、相対的競争力が不明な現時点で「昨年よりも多くのポイント」という目標は些か不公平で厳しい。
如何に経験を積もうがクルマが良くなければポイントは取れない。ライバルもまた前に進んでいるわけで、昨年以上の入賞を求めるのであれば、チームはAT04の競争力を先代よりも大きく引き上げる必要がある。
昨年のアルファタウリはガスリーと角田裕毅合わせて、全22戦中9戦でしかポイントを持ち帰れなかった。
とは言え、チームに努力と向上が求められるのと同じように、角田裕毅自身も戦力アップを実現させる必要があり、そのことは本人も重々承知している。
「マシンのパフォーマンスとは別に、すべてのレースでより高い一貫性を発揮して、これまで以上にコンスタントにポイントを獲得することが目標です」と角田裕毅は言う。
「常に自分をコントロールしてチームとうまく協力していきたいと思っていますし、できるだけ早く、バーレーンでの開幕戦の段階からすぐにでもクルマを理解したいと思っています」
「今年は予選Q3の進出、そしてポイント獲得という点で、過去3年間の中で最高のパフォーマンスを発揮していきたいです」
過去2年とは異なり、2023年の角田裕毅はこれまでとは異なる物差しで評価される。
ピエール・ガスリーの後任として加わった新たなチームメイト、ニック・デ・フリースは5歳年上で、モータースポーツ全般においては遥かに豊富な経験を持つものの、F1におけるそれは角田裕毅ほどではない。
故にチームの指揮官がデ・フリースに課すハードルは角田裕毅へのそれほど高くはないが、一方でマシン開発への貢献に対してはかなりの期待感を示している。
デ・フリースについてトストは「昨年のモンツァで1度だけF1レースに出場し、そこで素晴らしいパフォーマンスを発揮した」と語る。
「その一方で様々なカテゴリーで優勝を重ね、またチャンピオンを獲得しており、レース経験は豊富だ。したがって、必ずやシーズン序盤から良い結果を残し、ポイントを獲得してくれることだろう」
「ニックはエンジニアリング面で非常に優れており、集中力もある。昨シーズン末のアブダビ若手ドライバーテストで我々のクルマを走らせた際、早速エンジニアに技術的なフィードバックを与えていた。彼はすぐに新しいクルマを理解するだろう」
「すぐにクルマに慣れるだろうし、先ほども言ったようにF1マシンに関する技術的な課題を理解しているからこそ、彼のフィードバックは我々にとって有益なものになるはずだ」
「クルマの技術的側面における理解という点で彼は、最も熟練したドライバーの一人だと思う」