ピットガレージ前に停まるスクーデリア・フェラーリSF1000、2020年F1オーストリアGP
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フェラーリパワー消滅、待望のアップグレードが功を奏してもマクラーレンに届かず?

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表立っては誰一人として、フェラーリ製F1パワーユニットの悲惨さを語ろうとはしなかった。セバスチャン・ベッテルは「ドラッギー過ぎる」と訴え、ロマン・グロージャンは「フェラーリに確認してくれ」と言い、ケビン・マグヌッセンは「ストレート速度が足らないからダウンフォースを減らざるを得ず、結果としてコーナーで遅れを取る事になった」と説明した。

開幕オーストリアGPの決勝レースでは、”幸運”にも恵まれシャルル・ルクレールが大逆転とも言うべき2位表彰台を獲得したが、フェラーリのパワーユニットが他社に比べて大きく遅れを取っているであろう事は明らかだった。

ルクレールは土曜の予選で、自身が昨年刻んだポールタイムから1秒遅れの7番手に沈み、カスタマーチームのハースはコンマ6秒落ちに踏み止まったものの、同じく「Ferrari 065」を搭載するアルファロメオに至っては1秒も遅れた。決してコンディションが悪かったわけではない。予選最速を刻んだバルテリ・ボッタス(メルセデス)はコースレコードを塗り替えている。

チーム 2019年 2020年
フェラーリ 1:03.003 1:03.923 -0.923秒
ハース 1:04.072 1:04.691 -0.619秒
アルファロメオ 1:04.166 1:05.175 -1.009秒

フェラーリPUのパワー不足は予選スピードトラップにも表れていた。ルクレールが記録した312.4km/hは昨年比-11km/hと大幅に低下し、全20台中最下位に沈んだ。これはレッドブル・リンクでの最高速が記録されるインターミディエイト1でも同様だった。2本のロングストレートと1本のコーナーのみで構成されるセクター1は、エンジン性能を考える上で適したセクションと言えるが、この地点でもフェラーリの2台は仲良く最下位に並んだ。

こうした状況は、フェラーリが昨年、燃料流用関連の技術レギュレーション違反を犯して不当な馬力を得ていたと考える人々に攻撃材料を与えることになるだろうが、当のマラネロはレッドブル・リンクでのパフォーマンスをどのように評価しているのだろうか?

決勝を終えたスクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表は予選に触れて、SF1000はストレートだけでポールを獲得したメルセデスに対しコンマ7秒を失っていたとの考えを示した。予選におけるルクレールとポールシッターのボッタスとのギャップは1秒。その内の0.7秒が直線区間のみで失われているとすると、残りの0.3秒がコーナーリングでのロスタイムという事になる。

フェラーリは目下、第3戦ハンガリーGPで導入が予定されている車体側のアップグレードを今週末のシュタイアーマルクGPに前倒しできるよう、24時間体勢で昼夜を問わず開発を進めているが、これはダウンフォースを増やす手助けにはなろうものの、当然ながらエンジンパワーを改善させる事はないし、ドラッグの低減はさほど期待できない。マラネロは昨年以来、空力効率ではなくダウンフォースに焦点を当ててきた。

今季は従来と比べると開発が殆ど凍結状態に近いため、エンジン側の改善はあまり期待できない。シーズンを通して如何に車体側に手を入れられるかが勝負だ。

となれば、第2戦に待望のアップグレードが間に合ったとして、それが現在抱えているコーナーリングでのロスタイム(0.3秒)を補えるだけの十分なパフォーマンスを備えていたとしても、マクラーレンと同レベルの予選パフォーマンスを発揮できるかどうか、という程度に留まる事になる。シュタイアーマルクGPは今週末にオーストリアGPと同じレッドブル・リンクで開催される。

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